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最終更新日:2024年4月22日

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言語情報科学特別講義III

『捷解新語』研究
『捷解新語』は17世紀に朝鮮の司訳院で編纂された日本語の教科書である。ひらがなによる日本語の本文とその発音を示す音注および朝鮮語訳からなっており,日本語資料としても朝鮮語資料としても重要なものである。著者は,15世紀末の壬辰倭乱に際して若年で日本に捕らえられてきた康遇聖で,かれが習得した日本語は基本的に15世紀末から16世紀初頭の日本語であり,しばしば能・狂言の日本語とも似ていると評される。朝鮮語の部分は,17世紀の近代語初期の朝鮮語である。『捷解新語』には初刊本の他に改修本,重刊本が知られているが,この授業では初刊本を中心に扱い,当時の日本語および朝鮮語の文法的な特徴をつかむことを目標とする。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
31M200-1532A
GAS-LI6G03L1
言語情報科学特別講義III
福井 玲
A1 A2
月曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
総合文化研究科
授業計画
この授業では,『捷解新語』初刊本について,そこから16~17世紀頃の日本語および朝鮮語について,どのようなことを知ることができるかを,各自テーマを決めて研究することを目的とする。 例えば,日本語に関しては狂言の日本語とどのような点が共通し,どのような点が異なるか,あるいはこの時代の日本語の発音はどのようなものだったのか,この時代の「係り結び」はどのようなものだったのか,などといったテーマが考えられる。また朝鮮語については,同時期の他の資料と比較してこの資料がもつ特徴は何かを,表記法,音韻,文法などさまざまな面から考究することができる。例えば主格助詞の現れ方,待遇法の特徴など,多くのテーマが考えられる。
授業の方法
秋学期は,夏学期に引き続いて,講師の側から,例としていくつかのテーマを提示し,それについて討議する。後半では,参加者諸君にテーマを選んで貰い,それについて発表してもらい,それを皆で討議する。 全体の講読はこの授業では行なわないので,各自,接近しやすい材料をもとに,自分で順次読み進めていってもらうこととする。
成績評価方法
主として平常点(担当分の発表を含む)による。
教科書
テキストはコピーにより参加者諸君に配布する。
参考書
森田武 (1957) 「捷解新語解題」『捷解新語国語索引並解題』京都大学国語国文学会 浜田敦 (1970)『朝鮮史料による日本語研究』岩波書店 福井玲 (2014)「捷解新語のテキスト分析」『韓国朝鮮文化研究』13: 1-41. 鄭丞惠 (2003) 『朝鮮後期倭学書研究』ソウル:太学社
履修上の注意
参加者は,韓国語については現代語の中級程度まで学習していることが望ましい。