大学院
HOME 大学院 言語情報解析演習I
過去(2020年度)の授業の情報です
学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2025年4月21日

授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。

言語情報解析演習I

Valency alternation of verbs: Spray/load alternation, clear/wipe alternation, swarm alternation and more
このコースでは、文法項交替についての文献を概観する。文法項交替valency alternation/diathesis alternation/verb alternationとは、同じ動詞が複数の下位範疇に属し、異なる主語や目的語の組み合わせと一緒に現れる現象を言う。例えば、動詞breakが他動詞文と自動詞文の両方に現れる交替現象(He broke the cup./The cup broke.)を自他交替causative/inchoative alternationなどと呼ぶ。

一般的に、動詞がどのような文法項argumentを必要とし、その文法項がどのような表現(文法機能や統語範疇)として文中に出現するかは主に動詞の意味によって決まると考えられている。その前提に立てば、特定の文法項交替に参加する動詞(のクラス)の意味に着目することが、文構造の決定に関与する動詞の意味要素を抽出する手がかりになると考えられる。具体的には、
・ある特定の文法項交替が可能(あるいは不可能な)動詞に共通する意味要素とは何か。
・より一般的に、文構造の決定に関わる潜在的な意味要素には他にどのようなものがあるか。
・その意味要素が文法項交替に限らず、他の統語構造の側面にどのように反映されるか。
・文法項交替や、文構造の決定に関わる意味要素はさまざまな言語に普遍的か。
などの疑問に対する答えを模索する。
MIMA Search
時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
31M200-0411A
GAS-LI6B11S1
言語情報解析演習I
中澤 恒子
A1 A2
月曜3限
マイリストに追加
マイリストから削除
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
総合文化研究科
授業計画
さまざまな文法項交替に関する論文を通して、どのような文法項交替が言語学的な興味の対象として取り上げられて来たかを概観する。文献を通して、(1)言語(特に英語)にはどのような文法項交替の現象があり、どのような動詞がその交替構文に関わっているかを知る。(2)文法項交替を可能にする動詞の特徴とは何か、それをどのように文法・レキシコンに記述するかを考える。さらに(3)さまざまな統語現象の分析に際して、その論証や予測をするために文法項交替をどのように証拠として援用できるかという手法を学ぶ。 特に、以下についての文献を取り上げるが、以下に限定するものではない。 ・spray/load alternation: He sprayed paint on the wall./He sprayed the wall with paint. ・clear/wipe alternation: He cleared dishes from the talbe./He cleared the table of dishes. ・swarm alternation: Bees swarm in the garden./The garden swarms with bees.
授業の方法
各自が順に文法項交替についての文献リストの中から(あるいは各自の選択で)文献を選び、その内容をクラスで報告する。続けて、全員で内容に関する批判や議論を行う。
成績評価方法
クラスにおける文献内容の発表と、各自の興味に応じた文法項交替を取り上げた学期末レポート。
教科書
なし。文献リストを配布する。
参考書
なし。
履修上の注意
文法項交替についての知識は前提としないが、統語論、意味論の基礎知識があることが望ましい。