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最終更新日:2025年4月21日

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紛争と和解・共生I

現代アメリカ政治における減税の議論と国家機能
税の徴収という国家の活動には、政府の歳入額や執行可能な予算の大きさを決めるだけではなく、さまざまな形で社会や市場における人々の活動を抑制ないしは推進する影響力がある。アメリカ合衆国においては、特に1970年代から減税を主張する保守派運動が始まり、次第に共和党を席巻するようになった。減税保守派は現在でも共和党の主翼を担っており、第1期トランプ政権中には減税雇用法を成立させ、法人税と個人所得税の引き下げを実現させた。また民主党の中道派の間でも、さまざまな税控除措置を通じて、主に勤労を奨励しながら社会福祉に相当する手当を還付する仕組みが受容されてきた。その結果アメリカ政治発展論の研究では「見えにくい」福祉国家が形成されていったことが議論されている。
本授業では、まず学期の冒頭でアメリカ政治の基礎的な入門書を読み、連邦議会の予算形成に関する理解を深めた上で、連邦の税制とこれに関する政治運動についての英語研究書を購読する。課税を通じたアメリカ政治の政策議論の特殊性あるいは普遍性について考える機会としたい。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
31D290-0031S
紛争と和解・共生I
平松 彩子
S1 S2
金曜2限
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講義使用言語
日本語、英語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
総合文化研究科
授業計画
1.はじめに 2.市民としての行為:勤労、納税、投票、兵役 3.代表なくして課税なし 4.三権分立と議会下院の歳入法案 5.1970年代末の課税反対運動 6.租税支出と福祉手当(1) 7.租税支出と福祉手当(2) 8.キリスト教保守派と減税派の連合 9.レーガノミクス 10.アメリカとの契約 11.ティーパーティー運動 12.減税雇用法と財政赤字 13.納税と政治参加
授業の方法
演習形式。講読課題文献を配布するので、事前に予習をし、授業時間には口頭報告と演習内議論に参加する。
成績評価方法
授業内での口頭報告、議論への参加からみた内容の理解程度によって成績評価を行う。
教科書
岡山裕、前嶋和弘『アメリカ政治』(有斐閣ストゥディア)、有斐閣、2023年 岡山裕、西山隆行編『アメリカの政治 第2版』、弘文堂、2024年 A. ハミルトン、J.ジェイ、J. マディソン『ザ・フェデラリスト』、斎藤眞、中野勝郎翻訳、岩波書店、1999年 Michael J. Graetz. The Power to Destroy: How the Antitax Movement Hijacked America. Princeton University Press. 2024. Christopher Howard. The Welfare State Nobody Knows: Debunking Myths about U.S. Social Policy. Princeton University Press. 2006.
参考書
久保文明 他著、『アメリカ政治 第3版』(有斐閣アルマシリーズ)、有斐閣、2017年
履修上の注意
特に学期の中盤以降は、英語の図書文献が毎週40ページ以上課される予定である。