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最終更新日:2024年10月18日
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アジア太平洋地域文化演習III
デジタル時代の言論空間とアイデンティティ、ナショナリズムの影響:中国ファクターの視点から
Formation of discourse spaces and its influences of identities and nationalism in the digital age 〜 With special focus on the China factor
ゲルナーはナショナリズムを「政治的な単位と文化的あるいは民族的な単位を一致させようとする思想や運動」と定義する(アーネスト・ゲルナー『民族とナショナリズム』2022)。ナショナリズムは政治的共同体や社会的仕組みのほぼ全ての局面に存在し、グローバル、ローカル、コスモポリタンという形態でも論じられる(Delanty and Kumar, The SAGE Handbook of Nations and Nationalism 2006)。
ナショナリズムの動きには、「私たち」と「彼ら」を区分するアイデンティティのありようが反映される。アイデンティティは普遍ではなく、その時々にその定義は変わる。単一だとは限らず、複数のアイデンティティが絶えず変化し、流動的かつ分裂していく。グローバルな社会変化やイデオロギー的な情報に基づいたカテゴリーでもあり、社会政治的コンテクストなどによって定義し直される。本コースでは、アイデンティティについて、以下のような仮説を立てて検討してみたい。
1)アイデンティティは常に特定のコンテクストで創出・再創出され、相互関係において共同で構築される。流動的で可変性があり、相互排他的ではなく、誰もが複数のアイデンティティを持つ
2)アイデンティティの構築とは包摂と排除のプロセスであり、「私たち」と「彼ら」を定義することを意味する
3)言語的・文化的な帰属、文化への均質性が「私たち」を定義する重要な要素となる
4)個人的アイデンティティ、集合的アイデンティティ、国家アイデンティティ、超国家的アイデンティティなどがあり、広範な言語学的・誤用論的・習字的・ナラティブ・論証などのリソースを利用して、多くのジャンルにおいて創出・再創出され、象徴的に現れている
5)生得的排外主義のナショナリズムはポピュリズム政治によって強化され、異なる利害関係グループの間の対立を煽る傾向がある。こうした制限のある政治において、移民、少数民族、性的マイノリティなどへの差別は、政策立案・推進において容認され得る、よりソフトな差別とは根本的に異なる
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