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最終更新日:2026年10月16日
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多民族文化接触論I
独裁の記憶・傷・声なき声──20世紀ラテンアメリカの抵抗の詩を読む
20世紀後半のラテンアメリカでは、アルゼンチン、チリ、ウルグアイ、パラグアイ、ボリビア、ブラジルといった複数の国において軍事独裁政権が誕生した。言論は抑圧され、殺された者や行方不明になった者も多く、暴力に対する怖れが民衆の日常を満たした。この授業では、そのような状況を通じて生まれた詩の言葉がいかなるものであったかを、スペイン語の原典講読によって、一年間を通して探ることを目指す。暴力、傷、トラウマ、喪失の経験はいかに表現されたか。また、死者や行方不明者の声は、どのようにして表象されたか、あるいはされ得なかったか。詩の読解を進めながら、このような問題について議論したい。
Sセメスターには、チリの詩人ラウル・スリータRaúl Zurita(Rab. 1950)の 『あの消えた愛に寄せる歌』Canto a su amor desaparecido(1985)から読みはじめる。スリータは1973年9月11日のアウグスト・ピノチェトによるクーデターの際に拘束され拷問された経験を持つ。 『あの消えた愛に寄せる歌』は、独裁下の人びとのさまざまな痛みのなす多声的な作品であり、視覚的な要素も取り入れられている。
また、時間の許すかぎりで、スリータの『煉獄』Purgatorio(1979)や、同世代のチリの女性詩人カルメン・ベレンゲールCarmen Berenguer(1946-2024)の『ボビー・サンズは塀の中で息絶える』Bobby Sands desfallece en el muro(1983)もとりあげる。
Aセメスターには、アルゼンチンの詩人フアン・ヘルマンJuan Gelman(1930-2014)の『公開書簡』Carta abierta(1980)を中心にとする1970年代後半以降の作品を読む。1976年から1983年まで続いた軍政下で、ヘルマンは息子とその妊娠中の妻を拉致され、その喪失の経験は彼の詩に決定的な位相の変化をもたらした(息子は1990年に遺体が見つかったが、妻は行方不明のままである)。
時間が許せば、ネストル・ペルロンゲールNéstor Perlongher(1949-1992)の『死体』Cadáveres(1981)などもとりあげる。
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