学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年10月18日
授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。
言語態基礎論IV
文学・文化研究と「メディア考古学」
近年かなりの多様化のすすんだメディア研究を文学・文化研究に再接続する糸口を探るために、「メディア考古学(media archaeology)」というアプローチを検討します。メディアの歴史はしばしば単線的な進歩・発展のモデルで思い描かれる傾向にありますが、メディア考古学はいかなる歴史的時点においても「新しいもの(New)」と「古きもの(Old)」が複層的に絡み合い、ダイナミックに展開するプロセスに注目し、しばしば主流メディアに抗するオルタナティヴなメディアの可能性を模索しています。ベンヤミン、フーコー、キットラー、90年代以降の映画理論など、さまざまな動向を踏まえて展開する「メディア考古学」研究は、これまでのメディアをめぐる思索の蓄積をあらためて理解する手引きにもなるでしょう。
この授業では、そのメディア考古学を牽引してきた研究者の一人であるユッシ・パリッカ(Jussi Parikka, 1976- )の著作を入り口として、このような「考古学」的メディア研究の知見を文学・文化研究にどのように活かせるのかを考えてゆきます。パリッカの著作は2023年に2冊邦訳が出されたため日本での関心も高まりつつありますが、本演習では邦訳も参考にしながら、できるだけ英語の原文でパリッカの議論を読み込みその応用可能性を探ります。まずはWhat is Media Archaeology? (2012)を読んで「メディア考古学」の理論的枠組みを理解したのち、そのあとはA Geology of Media (2015)に移って、人新世、地質学、深い時間性などなど、ひろい意味でのエコクリティシズム的な着眼点がどのようにしてメディア研究と交錯しうるのか、についても考えてゆけたらと思います。
MIMA Search