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最終更新日:2025年4月21日
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言語態分析演習IV
「序文」で読む19世紀フランス文学
19世紀フランス文学は、特にその前半においては、ヴィクトル・ユゴー「『クロムウェル』序文」(1827)やテオフィル・ゴーチエ「『モーパン嬢』序文」(1835)、バルザック「『人間喜劇』総序」(1842)など、芸術流派のマニフェストや文学論として、また、出版計画の公表などを目的に執筆された、単なる作品紹介の域に収まらない、それ自体として読みごたえのある「序文」の存在によって際立っています。確かに、フローベール以降、「序文」はその意味を問い直され、その文化は下火になったともいえますが、他方で、ゴンクール兄弟やゾラなど、世紀後半の作家たちによって重要な「序文」が書き残されていることもまた事実です。その後、20世紀初頭にプルーストが登場することで19世紀的「序文」はその使命を終えることになるわけですが、そのことは同時に、「序文」がすぐれて19世紀的な文学ジャンルであったことを示しているといえるでしょう。
この授業では、シャトーブリアンからユイスマンスまで19世紀の「序文」をバランスよく収めたアンソロジーPréfaces des romans français du XIXe siècle(éd. Jacques Noiray, Livre de Poche, 2007)を頼りに、「序文」を読むことを通じて、19世紀フランス文学の世界に足を踏み入れていきたいと思います。
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