学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年10月18日
授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。
現代社会論
現代社会論入門 「白書」と「メディア」から読み解く現代社会
◯本講義の目的
現代社会とはいかなる社会か。その秩序はいかに可能になり、また変更されようとしているのか。
この根本的な問い、様々な解が存在し得る問いに自分なりに一定の答えを与え、これから社会に大きな変化が訪れた時にもそれを解釈するための「自分の中の軸」をつくることが本講義の目的です。
(1)現代社会を俯瞰的に把握するために、社会を構成する諸領域のおさえるべき事実を理解する(2)その過程で一定量の情報を短期間で自らの知識とする経験を反復する(3)諸領域を越境しながら思考することで現代社会に共通する課題とそうではない課題とを峻別する、という3点を繰り返す中で、受講生各々が独自の視座を得ることを目指します。その際には、常にメディアにある情報を横目にいれながら社会と個人の関係とを意識します。
現代社会とは何か。その根本に何があり、どんな特異性が存在するのか。その全体を見渡すことはますます難しくなっています。
個人それぞれが自らの見える世界の内部に閉じこもり、またそれを加速するよう社会構造・情報技術等も高度化している。「それならそれで良い」と意識的に選択しているならまだ良いが、おそらくそうではない。多くの人は情報過多の渦の中に巻き込まれるに身を任せ、無意識のうちに狭い世界に引きこもりつつ、可処分時間を「自分ではない何か」に奪われ、休み無く走らせられ続ける感覚に疲弊している。
未来への答えなき不安と期待値の低さ、現在の幸福と最小化・最適化された不満。その中であえて立ち止まり、自分と社会の足元・現在地を確認しなおすことに、いま大学で学ぶことの意義の一端はあるでしょう。
受講にあたって、文理、所属・専攻、関心、進路の希望等々は問いません。
◯本講義の進め方
上記の目的に向け、本講義では中央省庁が刊行する白書を課題文献として、受講生にはその読解を前提に文書を作成し、議論する、という作業をしてもらいます。その際、常に白書の内容に関連するメディア上の情報を踏まえながらのアウトプットを積み重ねます。
具体的には、課題文献を読んで各自のリアクションペーパーを作成した上でグループディスカッションをする「GD回」、全体討議をしレポートを作成する「全体討議回」を講義時間の中で交互に設定し進めます。前後半、それぞれの終わりに研究ノートを作成する「まとめ回」もあります。
リアクションペーパーとレポートでは、メディア上に存在するニュース等関連情報を参照し、白書に示された現状や指針と、メディア上の情報との双方を批判的にとらえるようにしてください。
上記の「本講義の目的」を達成するためには、歴史的アプローチ(ex.過去の動向を大局的に捉え典型的な構造やパターンを抽出して考える)、理論的アプローチ(ex.個別事例を普遍的に説明できる概念や規則・式を参照したり記述したりしながら考える)、フィールドワークや定量データ分析など分析的アプローチ(ex.現場に生きる人の口述内容や意識調査、統計データに現れる見えていなかった現実を元に考える)といった方法がありえます。
本講義は、その前段階で必要な事実を知る機会となります。難しいと思うかもしれませんが、もし可能であれば、各受講者が自分の知っている範囲で、自由にそれらの方法を組み合わせながら議論やレポートの作成をすることを歓迎します。他の講義・ゼミや課外活動で学んだ知識をアウトプットし血肉化する機会としても利用して頂ければと思います。
学部1・2年生であれば、高校までの教科教育で学んだ内容や探究学習等で得た知識をもとに思考せざる得ない部分も大きいでしょうし、大学に来たからには、その枠を超えた思考を展開したいという関心を様々に持っている場合も少なくはないでしょう。それが将来の職業選択やキャリア形成の選択肢を増やすと予感している人もいるでしょう。例えば「SDGsについてより深く考えたい」「国際政治の勉強をして世界平和に貢献したい」「いずれ地方で暮らし少子高齢化やコミュニティ崩壊の問題に取り組みたい」「遠からず来る大規模複合災害に向けていまからできる防災や復興のあり方を構想したい」等々。
それらの関心の上により深く思考するためには、歴史的・理論的・分析的アプローチなどの方法論的な「タテ糸」と、細分化され続ける個別領域・事例についての幅広く・精緻に構造化された理解によって撚られた「ヨコ糸」とで織られた一枚の布を可能な限り幅広く・分厚く自分の中に用意し携えておくことが必要です。
その布は、難所を進む際には雨風から身を守り、立ち止まる際には落ち着いて休むための敷き布となり、旅の中で得た持ちきれないほどの宝物を遠方まで運ぶための包み布としても活きるでしょう。
MIMA Search