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最終更新日:2024年10月18日

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学術フロンティア講義 (30年後の世界へ――ポスト2050を希望に変える) (30年後の世界へ——ポスト2050を希望に変える)

30年後の世界へ——ポスト2050を希望に変える
 東京大学東アジア藝文書院(East Asian Academy for New Liberal Arts, EAA)は2019年度から毎年、「30年後の世界へ」を共通テーマとしてこのオムニバス講義を開講し、様々な角度から「世界」を問うてきました。世界はわたしたちの外側にあるのではなく、わたしたちが世界を創っているのだと言えます。世界を問うとは、既成の価値を疑いながら未来に関与することです。問いは智慧を発動させ、その智慧を育むのが大学という場所です。この講義は大学の役割を行為的に表現し、大学の新たな価値を生みだす実験なのです。特に2023年度は「空気の価値化」という命題を学内外だけでなく社会と連携しながら問うてきました。
 さて、30年後の世界はどうなっているでしょうか。気候変動の影響を最小限に抑えるための目標として、多くの国々が炭素排出量実質ゼロ(カーボン・ニュートラル)実現の期限に定めているのが2050年です。しかしその実現がきわめて難しいことはいまや半ば公然の事実になりました。たとえ目標が達成されたとしてもそれで気候危機が解決されるわけではなく、わたしたちはその後も長期にわたって、自らの文明が生みだした様々な災害——自然災害、戦争、圧政、貧困など——の中で生きていかなければなりません。わたしたちは、21世紀の後半に向かって、長い危機の時代を生きていくことになります。これこそは、「30年後の空気」が規定するわたしたち人類の基礎条件です。そこで、2024年度は「30年後」を越えて、この「危機の空気/空気の危機」の中から希望を見いだすべく、以下の三つの柱を中心に皆さんと議論したいと思います。
 1 復興の技法。人は他と共同しながらつねに自らを変容させ、成長していきます。危機を変容や成長を促す好機であるととらえるなら、「復興」とは人間の変容と成長のプロセスそのものであると言えるでしょう。危機の中からわたしたちはどのような復興のあり方を想像するでしょうか。またテクノロジーはどのような役割を果たすべきでしょうか。
 2 ロゴスの複雑化。世界は分断の時代に入ったと言われます。20世紀までの世界を支えてきた政治制度の枠組みは地殻変動のように長期にわたる大きな変革を被りつつあります。いまの世界を構成している政治のロゴスは十全なものではないのかも知れません。世界をあらわす(表す/現す/著す)ロゴスを豊かにすることが不可欠でしょう。
 3 惑星時代の人間。人新世やプラネタリー・バウンダリーなどの概念は、近代的な人間観の改変を促しています。「人間」とは何か?この終わりなき存在論的問いを、人間を棲まわせているこの地球という環境との連続の中で再び定義することは可能でしょうか。可能であるとして、それはいかにして可能になるでしょうか。
 「30年後の世界」に希望をもたらすのは、他ならぬわたしたち自身です。皆さんと「問い」を共にして、この講義をポスト2050に向けた希望の出発点にしたいと思います。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
31673
CAS-TC1100L1
学術フロンティア講義 (30年後の世界へ――ポスト2050を希望に変える) (30年後の世界へ——ポスト2050を希望に変える)
石井 剛
S1 S2
金曜5限
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講義使用言語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
教養学部(前期課程)
授業計画
4月5日 ガイダンス 4月19日 溝口勝(東京大学大学院農学生命科学研究科、農学)復興の技法1  4月26日 高橋伸一郎(東京大学大学院農学生命科学研究科、応用動物科学)惑星時代の人間1 5月3日 伊達聖伸(東京大学大学院総合文化研究科、宗教社会学)ロゴスの複雑化1 5月10日 酒井直樹(コーネル大学アジア研究学科/東京大学東京カレッジ、思想史・批評理論)ロゴスの複雑化2 5月15日(水) 羽藤英二(東京大学大学院工学系研究科、都市工学)復興の技法2 5月24日 福永真弓(東京大学大学院新領域創成研究科、環境社会学)惑星時代の人間2 6月7日 野澤俊太郎(東京大学教養学部/東アジア藝文書院、建築学)惑星時代の人間3 6月14日 中島隆博(東京大学東洋文化研究所、中国哲学)ロゴスの複雑化3 6月21日 冨澤かな(東京大学大学院人文社会系研究科、宗教学)ロゴスの複雑化4 6月28日 藤原辰史(京都大学人文科学研究所、歴史学)惑星時代の人間4 7月5日 岩川ありさ(早稲田大学文学学術院、現代日本文学)復興の技法3 7月12日 石井剛(東京大学大学院総合文化研究科/東アジア藝文書院、中国哲学)復興の技法4
授業の方法
オムニバス講義
成績評価方法
リアクションペーパーの提出
履修上の注意
特になし