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最終更新日:2026年4月20日

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全学自由研究ゼミナール (公共に奉仕する――国家運営と政策形成の世界)

公共に奉仕する――国家運営と政策形成の世界
 日本はいま、大きな転換期にある。緊迫度を増す東アジアの安全保障環境の下では、戦後80年にわたって続いた平和を、もはや主体的な努力を抜きに享受し続けることが困難である。デフレ・低金利・円高を基調とした平成の30年間は、もはやまったくの昔となった。少子化と高齢化の趨勢は止まらず、社会保障費と医療費による財政の窮迫の下で、採りうる選択肢は限られている。先進国で猖獗を極めるポピュリズムが幸いにも低調だとはいえ、民主政の破壊を目指す勢力には、いっそうの警戒を要する。
 この禍機からの出口を見つけるのは容易ではないが、そのための鍵は、科学研究に支えられた技術革新、地方コミュニティを含む社会の健全さ、そして自ら公共のために挺身しようという若い力にあるだろう。個々人ができることに限りがあるとはいえ、日本あるいは世界の「公共」に奉仕するためにどのような役割がありうるか、それを考えるのが、この演習の目的である。
 公共に奉仕する役割をまず担うのは、主権者たる日本国民を代表する「正当に選挙された国会における代表者」である。その補助をするのが、公僕たる官僚である。しかし、それだけではない。日本社会の健全さを保つには、地域レベルでの政策の担い手が欠かせないし、禍機からの脱出には、国民の叡智を結集して政策を立案せねばならない。科学技術を基盤とする成長には、大学での研究だけでなく、企業による投資も必要である。経済活動を実際に担うのは企業であり、その実態を踏まえて政策形成が行われるに際しては、アクターとしての企業の活動が重要である。さまざまなセクターで活躍する多様なロールモデルに接することが、本学に在籍する諸兄姉には有益だろうと思う。
 そのために、本演習においては、政治家、官僚、研究者、企業経営者等々の協力を得て、国家運営と政策形成に最前線で携わる多様なゲストを招待し、具体的な実態を赤裸々に語っていただくことにする。それとともに、参加する学生諸君には、彼らの直面する政策課題を想像し、自分なりの政策を予め立案して、理解を深めていただくことにする。それによって、国家運営と政策形成に携わる多様なキャリアを把握することが、本演習の目的である。
 参考までに、2025年度(S・Aセメスター)の演習でのゲストと訪問先を挙げる。
(国会議員)齋藤健衆議院議員(元経済産業大臣・法務大臣・農林水産大臣) 本年度は国政選挙がないと予想されるので、他の議員にも声をかけるかもしれない。
(官庁)財務省、経済産業省、外務省、総務省、農林水産省、文部科学省、国土交通省、厚生労働省、警察庁(それぞれ、出身のOB/OGを含む)及び最高裁判所
(企業)日本銀行、エアバスジャパン、レゾナック、旭化成、NEC、ANA、成田空港株式会社、長島大野常松法律事務所
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
31614
CAS-TC1200S1
全学自由研究ゼミナール (公共に奉仕する――国家運営と政策形成の世界)
武見 綾子
S1 S2
月曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
YES
他学部履修
不可
開講所属
教養学部(前期課程)
授業計画
初回の説明会(4月6日)までに確定させるが、2025年度Sセメスターにおいては、4月第1回に財務省、第2回に経済産業省の官僚(それぞれ審議官級・企画官級・課長補佐級)を招き、最前線で政策立案に携わった経験をもとに講演をお願いした。また5月には、兼原信克元内閣官房副長官補(1981年法学部卒・外務省入省)や齋藤健衆議院議員(1983年経済学部卒・通商産業省入省、元経済産業大臣)に講演をお願いしたほか、経済産業省を訪問し、製造業に関わる政策形成の実情を伺い、若手官僚との交流会を行った。また、Aセメスターにおいては半導体材料について注目すべき企業政略を示すレゾナックから、高橋秀仁社長と今井のり常務取締役をお迎えした。今年度は参加者の意見を聴きつつ同種の企画を立てるほか、国政選挙がないと予想されることから、若手政治家の話を聴く機会なども盛り込みたいと考えている。
授業の方法
各週のクラスには「授業計画」に記したようなゲストを招くことが多いが、各クラスに先立って参考文献の指定や課題の設定をお願いし、参加者各自が予め十分に準備をして質疑応答の機会に臨むこととしている。そのため、クラス各回に費やす時間の何倍かの時間を使うこととなる。また、参加者から希望があれば、国家運営や政策形成に関わる古典的文献の輪読会や、最新情報を伝える英語文献の読書会を開催することも考えている。各自が自由に研究に臨むのが「教養」の本体だというのが、ベルリン大学の創建時にフンボルトが掲げた大学教育の理念であった。この演習では、それを正統に継承することを志している。
成績評価方法
平常点による。クラスにおけるディスカッションに積極的に参加し、全体の議論の水準を高めることで、「合格」となる。(全学自由研究ゼミナールにおいては成績は「合格」「不合格」のみであり、点数による評価は行わない。)
履修上の注意
大学というのは、「大きく叩けば大きく鳴り、小さく叩けは小さく鳴る」。この場を活かして勉強をする、さまざまな体験をする、得難い経験をするかどうかは、各自の発意に任されている。その点で、国(文部科学省)の定めた学習指導要領に準拠して一定の水準と範囲で教育を行う(ことが期待される)学校とは、まったく異なっている。この演習は「大きく叩く」ことを志す諸兄姉のために開講される。少ない労力で必要な単位を獲得するという目的には、おそらくそぐわない。
その他
この演習は、「玉井ゼミ」として40年近く継続してきたものである。来講するゲストにも、ゼミOB/OGが多い。担当教員である玉井克哉(1983年法学部卒、2024年末まで先端研教授、現在は先端研特任研究員)の退職後は、先端研武見綾子准教授の担当として開講している。
実務経験と授業科目の関連性
武見綾子准教授は世界保健機関(WHO)や世界銀行での勤務経験があり、玉井克哉特任研究員(名誉教授)は、2013年以来弁護士登録をしているほか、各種経験が豊富である。それらの経験を通じて、本演習のテーマに関して実務経験を得ている。