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最終更新日:2024年10月1日
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文理融合ゼミナール(身体と芸術)
Archi-Choreographies/アルシ・コレオグラフィーズ
日常においておおむね無意識のうちにいつも作動している「他者に身体を動かされていること/他者の身体を動かしていること」を「アルシ・コレオグラフィー(原振付)」として捉えた上で、それを相互観察によって対象化・意識化することで、その操作・変形・転移・感染・停止可能性を探ります。言ってみれば、振付を考えることでダンスを新たに作り出すのではなく、それぞれが気づかないうちに踊らされている振付をやめる・変えることで消去法的にダンスを見出す試みです。
授業は二つのセクションを交互に行ないます。
(1)さまざまな「クセ」(寝癖、思考癖、口癖、その他)を、身体と世界との間の接触の身体側に残された記録とみなした上で、(多くの場合、自分では気づいていない)そうした身体や思考の偏りを受講生どうしで探し出し、その来歴を明らかにしたり、それを他人に移したりすることで、個人の「その人らしさ」という感覚がどこで生み出され、どのように変容するかを検証します。
(2)友人の振付家に依頼されてでっちあげたアルシ・コレオグラフィーの一般理論(もどき)のレクチャーと、それを受けての全員でのディスカッションを行ないます(*)。講義内容の理解はさておき、講義において露わになる教員自身の思考癖、口癖やその他の癖の観察、またディスカッションにおける受講生それぞれの振る舞いに見られる様々な癖と交わされる議論との関係の観察を主眼とします。
いずれにせよ、個人=ひとつの身体といういまだに多くのダンスの土台となっている身体観を多方面から解体し、そもそも何を「ダンス」と見なすのかを根底から考え直すことが目標です。
(*)理論の内容は、身体を「乗り物」(そして運動を移動)と見なすことで、さまざまなスケールにおいて作動している広い意味での振付を体系化するものです。たとえば、近年話題になっているマイクロバイオームや寄生虫学の観点から言えば、人間を含めた生き物の身体はその中にひしめく何十兆もの他の生物によって操られる乗り物であるし、あるいは逆に人間が自動車や飛行機などの乗り物を運転するときは操作主の身体感の拡張が伴います(アラスカではバスのことをピープル・ムーヴァーと呼びます)。また植物の形態や見た目は、他の生物を遠隔操作するために進化しています(だから花の美しさ(美学)は振付の問題でもあるわけです)。このような事例を物理的スケールに準じた5つのカテゴリー(依頼されたお題がPost DanceだったためすべてPからはじまる)に分けて考えます。人間の身体が微生物の乗り物であることや、身体と移動の結びつきが、現在のコロナ禍における自粛生活においてますます切実な問題として浮かび上がってきていることは言うまでもありません。
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