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最終更新日:2026年10月16日

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全学自由研究ゼミナール (経済・産業政策と日本経済)

経済・産業政策と日本経済
日本経済は現在、人口減少と少子高齢化、インフレ、国際政治の混乱、エネルギー・環境問題、急速なデジタル化など、複雑かつ多面的な課題に直面しています。これらの変化は、産業構造や地域経済、働き方、技術革新のあり方に大きな影響を与えており、社会全体として新たな対応が求められています。本授業では、現代日本の経済社会の状況を踏まえ、経済・産業分野における課題解決に向けて「政策」がどのような役割を果たすのか、政策効果の発現経路とその評価(EBPM:エビデンスに基づく政策立案)を念頭に置きつつ、具体的な分野・制度での取り組みを通じて解説します。経済安全保障、スタートアップ、GXなど多様な各テーマでの政策現場で活躍する国家公務員や民間企業の実務者等を講師に迎えて、公共政策の現場の息吹を伝えつつ、社会の構造や変化を主体的に考えるきっかけと学びの場となることを目指します。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
31590
CAS-TC1200S1
全学自由研究ゼミナール (経済・産業政策と日本経済)
大橋 弘
S1 S2
木曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
教養学部(前期課程)
授業計画
1ガイダンス  本講義の概要や評価方法等についてガイダンスを行う。 2産業政策全体像  2021 年から「経済産業政策の新機軸」として、世界的潮流も踏まえた産業政策の強化策の検討が行われている。官が主導する伝統的産業政策ではなく、官は民を邪魔しないことに徹する新自由主義的政策でもない、社会・経済課題解決に向けて、官も民も一歩前にでて、あらゆる政策を総動員するアプローチで、産業政策を強化する姿勢に転換。こうした直近の産業政策の動向について説明を行う。また、直近の社会的マクロ環境変化と積極的な産業政策の効果もあいまって、国内投資と賃金には、「潮目の変化」が起きているものの、生産・消費はまだなお弱い。こうした状況の中で、産業政策の今後の方向性について議論を行う。 3経済安全保障①  経済・技術面での大国間競争が激化し、生成 AI や量子を始め破壊的技術革新が加速している中、巨大な市場や天然資源を有する大国が国境措置や産業支援策を一段と強めており、産業・技術基盤が囲い込まれようとしている。更に、大国の自給自足や覇権の追求の中で世界の分断は一層深まっている。このように、国際情勢や技術革新の地殻変動に伴う歴史の転換期にあることを踏まえ、我が国の経済安全保障を取り巻く状況や政府の政策について、説明・議論を行う。 4経済安全保障②  経済安全保障の観点から、半導体は現代の産業・技術基盤を支える最重要物資の一つ。加えて、あらゆる産業において生成AIをはじめとするデジタル技術の活用が不可欠となる中、その基盤としての先端半導体の安定的な確保の重要性は一層高まっている。他方で、半導体サプライチェーンにおいて、日本の製造装置・部素材メーカーは世界的に高い競争力と不可欠な地位を有している。本講義では、こうした日本の半導体製造装置・部素材メーカーの実務担当者を講師に迎え、足下のマクロ環境の変化や政府の経済安全保障政策の動向を企業側がどのように捉えているのか、また、それらの変化が企業行動にどのような影響を与えているのかについて、現場の視点から説明を行う。 5経済安全保障③  第4回で扱う半導体分野については、近年、経済安全保障及び産業競争力強化の観点から、政府による手厚い政策支援が講じられている。具体的には、「AI・半導体産業基盤強化フレーム」の下、2030年度までの7年間で10兆円を超えるAI・半導体関連支援を実施し、これを呼び水として今後10年間で50兆円を超える国内投資を官民協調で実現することが掲げられている。本講義では、こうした半導体政策の動向について政策担当者から説明するとともに、有識者とともに今後の半導体政策の方向性について議論を行う。 6GX①  米国を中心とする国際情勢の変化や世界的なインフレ等の影響が顕在化する中、日本としてどのようにGXに取り組み、産業競争力を高めていこうとしているのかについて説明する。AI・データセンターを中心とする電力需要の増加が予測される中、化石燃料輸入による20兆円超の国富流出が常態化している日本において、国産エネルギーの重要性はこれまで以上に高まっているが、クリーンエネルギー関連のコストは現状従来の製品等より高いものが多く、長期的に移行させていく視野を持ち、バランス感覚を持った政策形成が必要となる。 7GX②  多排出産業の脱炭素化が求められる中、日本の主要な製造業である鉄鋼分野では、従来の高炉による製造から電炉での製造への転換が進み始めている。転換における難しさ(技術、コスト、人材)と重要性などについて、当該産業で実際に働く社員から説明を行う。また、国産の脱炭素電源として期待される次世代再エネを進めている事業者からも、技術、コスト両面での現状と課題、必要な人材についての見解や海外との違いなどについて解説する。 8GX③  産業を動かすにあたっては、産官学はもちろん、金融機関との連携も非常に重要となる。特に、第6回、第7回で触れたようなGX分野では、次世代・新興技術の導入や大型の脱炭素電源への投資など大規模な投資が必要となることから、民間企業でリスクをとることが困難なものも多い。GX分野で民間企業が投資を進めることができるよう、金融機関が行っている取組や前提としている考え方等について説明を行う。 9イノベーション政策①(全体像)  我が国は、戦後、積極的に研究開発投資を行い、数多くのイノベーションを実現してきた。一方で、近年は、中国のみならず、アジア等の各国が科学技術・イノベーションの競争力を高める中で、我が国は、論文力の相対的低下、グローバルなイノベーション立地競争におけるプレゼンスの低下、AI 等の戦略分野における高度人材の不足、スタートアップへの大型投資の不足など、多くの課題に直面している。こうした状況を踏まえ、直近のイノベーション政策の動向や今後の方向性について、説明・議論を行う。 10イノベーション政策②(スタートアップ支援)  スタートアップは、新たな技術・ビジネスモデルを社会実装し、経済成長を牽引する重要な担い手である。我が国を代表する電機メーカーや自動車メーカーも、戦後直後に20代・30代の若者が創業したスタートアップとして出発し、その後、日本経済を支えるグローバル企業へと発展してきた歴史を有する。しかし近年、我が国の開業率やユニコーン企業数は、米国や欧州と比べて低い水準にとどまっている。こうした状況を踏まえ、本講義では、我が国でスタートアップを生み育てるエコシステムを創出するために講じている政策の動向や今後の方向性について、説明・議論を行う。 11コーポレートガバナンス改革①  我が国経済が、コストカット型経済から賃上げと投資が牽引する成長型経済へ移行するにあたり、企業が、リスクをとって持続的な成長と企業価値の向上を目指していく「攻めの経営」を行うことが重要。本講義では、こうした企業の中長期目線の成長戦略の実行を後押しするために最適化される社会システム・政策体系を構築するに当たっての構造的課題や、その解決に向けた政策体系(コーポレートガバナンス改革含む)について説明・議論を行う。 12コーポレートガバナンス改革②  1990年代以降、特にメインバンク制縮小に伴い、ガバナンス主体として外部株主の重要性が高まる中、2010年代以降、政府は、コーポレートガバナンス改革を推進し、企業の持続的成長に向けた企業と株主・投資家の価値協創関係の構築を目指してきた。他方で、こうした改革では、企業の収益等は株主還元に向かい、必ずしも成長戦略の実行には繋がっていないとの批判も存在。本講義では、こうした日本におけるコーポレートガバナンスの変遷を紹介するとともに、企業と株主・投資家との対話が、企業の成長戦略の実行を支えるという本来の目的の達成に向けたコーポレートガバナンスの在り方について説明・議論を行う。 13まとめ(日本の経済をとりまく環境と行政の役割)  日本経済は、長期的な人口減少・少子高齢化による国内市場の縮小、国際競争の激化、地政学的リスクの高まりなど、複合的かつ構造的な課題に直面している。加えて、脱炭素化(GX)やデジタル化(DX)、経済安全保障の確保といった新たな政策要請が世界的に強まる中で、各国は産業競争力の強化に向けた政策手段を積極的に講じている。本講義では、こうした国内外のマクロ環境変化を概観した上で、これまでの全12回の講義を踏まえ、社会・経済課題に対して、行政が果たすべき役割について説明・議論を行う。
授業の方法
講義
成績評価方法
講義での参加の程度や試験(詳しくは開講時に説明する)
履修上の注意
事前にUTOLで案内する資料(各講義の3日前までに掲載)を読み、講義で発言等ができるよう準備すること。