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最終更新日:2025年4月21日
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初年次ゼミナール理科
疾患克服を目指した医科学研究の実際 -疾患の分子病態から予防、診断、治療法を考える
疾患の発症メカニズムを分子レベルで解明することは、予防・診断・治療法の開発につながる重要なプロセスです。本講義では、遺伝的多様性、タンパク質代謝制御、神経筋接合部を3つのテーマを通じて、3名の担当教官から疾患克服を目指した医科学研究の最前線について学びます。与えられたテーマについて自ら調査し、他者に分かりやすく発表する機会を多く設けることで、情報収集・論理的思考・プレゼンテーションのスキルを養い、医学研究の理解を深めます。
「遺伝的多様性と遺伝統計学(担当教官:熊坂夏彦)」
人のゲノムの違い(遺伝的多様性)は、体格や容姿だけでなく、喫煙量や飲酒量などの生活習慣、そして病気のなりやすさなど、私達のありとあらゆる表現型の違いを生み出しています。2003年にヒトのゲノム配列が決定されたことで、私達は初めてゲノムの地図を手にしました。それから20年が経ち、私達はヒトの身長を遺伝的に決定する遺伝的多様性のほとんどの場所を知ることになりました。この講義では、人の遺伝的多様性がどのように私たち自身を形作っているのか、その秘密を解き明かす学問である「遺伝統計学」について学びます。さらに、遺伝統計学を活用して病気の原因を特定し、新たな薬を開発し、一人ひとりのDNA配列に基づいたオーダーメイド医療を実現する方法について議論し、発表していただきます。
「細胞内タンパク質分解系と疾患・創薬(担当教官:佐伯泰)」
細胞内のタンパク質分解を担うシステムとして、ユビキチン・プロテアソーム系とオートファジーー・リソソーム系が知られております。近年、これらのシステムの破綻が、がん、神経変性疾患、免疫疾患など、多岐にわたる疾患の発症・進展に関与することが明らかになってきました。さらに、これらのタンパク質分解経路を利用した新たな創薬手法の開発も盛んになっております。本講義では、細胞内タンパク質分解という生命現象の基本的なメカニズムを理解し、それらがどのように疾患に関わっているかを学ぶとともに、タンパク質分解を標的とした創薬戦略の将来展望について議論します。
「神経筋接合部の基礎研究に基づく疾患の発見と予防・治療法開発について学ぶ(担当教官:山梨裕司)」
我々の呼吸を含む運動機能は運動神経による骨格筋収縮の緻密な制御によって支えられており、その制御には運動神経の軸索末端と筋線維を結ぶ神経筋接合部(NMJ:neuromuscular junction)と呼ばれる化学シナプスが必須の役割を担っています。事実、NMJの形成・機能不全は筋無力症と呼ばれる、易疲労性の筋力低下を特徴とする神経筋疾患を引き起こします。さらに、近年の研究により、NMJの形成不全が運動神経変性疾患や加齢性の筋力低下にも関連することが明らかとなり、多様な運動機能障害について、NMJを標的とする予防・治療法開発が進められています。本講義ではNMJの基礎研究に基づく筋無力症の発見と予防・治療法開発の実例について学ぶと共に、関連する様々な課題について説明・議論する場を提供します。
開講場所は原則駒場Iキャンパスです。第3回のみ、東京大学医科学研究所の見学会を行い ます。
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