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最終更新日:2024年10月18日

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外国文学

フランス文学のエチュード
 この授業は、文学部・フランス文学研究室の教員がそれぞれ専門とする時代・作家・作品を取り上げて講義し、フランス文学の全貌を解説すると同時に、文学研究の方法と意義についても教養学部前期課程のみなさんにわかりやすく解き明かすことを目的としています。
 人文科学は人間の探求を目的としています。その一分野としての文学(および文学研究)は、可能性としての人間を考察する点に特徴があります。それ以前に存在しなかった人物像が、忽然とある作品に出現して文学史に刻印され、人間の幅と奥行きを拡大し、時として後年その人物像を模した人間が現実の世界の中に生まれる(たとえば、カミュの『異邦人』)ことからわかるように、歴史的にどこにも見当たらない人間類型を探ることこそ、文学(および文学研究)がもっとも得意とする発想法です。哲学が現実の人間のあり方の原理を探り、歴史学が過去における人間のあり方を探るとしたら、文学は人間のあり方の持つ可能性を、知識や過去の事実の枠組みを越えて探求するのです。言い換えれば、現実にはいまだありえない「想定外」の人間像を探求する。そしてフランス文学こそ、今まで、もっともその試みに務めてきた文学であるように思われます。
 フランス文学は時代順にいって人文主義、古典主義、啓蒙主義、ロマン主義、自然主義、シュルレアリスム、実存主義という文芸思潮をたどり、しかもそのすべてにおいて時代の尖端をゆく作品を産み出してきました。一国文学でありながらヨーロッパ世界の精神史の流れを先取り、ないしリードしたといってよく、これをたどることによって、副産物として、世界文学への展望を容易に把握することもできます。現況はより複雑な様相を呈していて、哲学、社会学、人類学などの他の領域とこれまで以上に深く関わる形で文学が営まれていますが、まず基本を学ぶことで現在の状況への認識をさらに深めることが期待できます。
 授業では、それぞれの文芸思潮のなかから、いくつかの代表的な作品を選び、翻訳の抜粋を読解することによって、その作品の魅力を説き明かす形で進められます。時代順にはこだわらず、担当教師がもっともおもしろいと思う作品を取りあげることにします。授業を手がかりに、気になる本があったらぜひその翻訳全体を読み通すことを希望します。文学の魅力と可能性を再発見する機会となることを目指します。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
31421
CAS-GC1A17L1
外国文学
塩塚 秀一郎
S1 S2
水曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
教養学部(前期課程)
授業計画
第1回(王寺・塩塚・浜永)4月6日 イントロダクション(学生との歓談) 第2回(塩塚)4月13日(ルネサンス文学)ラブレー『ガルガンチュアとパンタグリュエル』──新時代の言葉 第3回(塩塚)4月20日(19世紀文学I)ヴェルヌ『海底二万マイル』他──現代の神話 第4回(塩塚)4月27日(19世紀文学II)レーモン・ルーセル『アフリカの印象』他──奇想のスペクタクル 第5回(塩塚)5月11日(20世紀文学)レリス『ゲームの規則』──自伝と民族学 第6回(王寺)5月18日(古典主義文学・思想)ピエール・ベール:寛容論ー『マンブール氏のカルヴァン派史の一般的批判の著者の新たなる手紙』と『「強いて入らしめよ」というイエス・キリストの言葉に関する哲学的註解』 第7回(王寺)5月25日(18世紀文学・思想 I)モンテスキュー:「穏和な統治」ー『法の精神』 第8回(王寺)6月8日(18世紀文学・思想 II)ルソー:「自然状態」と「社会契約」ー『人間不平等起源論』と『社会契約論』 第9回(王寺)6月15日(18世紀文学・思想 III)ディドロ:歴史とユートピアー『両インド史』のパラグアイ布教区叙述 第10回(浜永)6月22日(19世紀詩I)エレディア『戦果』──見えるものと見えないもの 第11回(浜永)6月29日(19世紀詩II)ネルヴァル『幻想詩篇』──幻滅と神秘化 第12回(浜永)7月6日(19世詩III)ボードレール『パリの憂鬱』──詩を否定する詩 第13回(浜永)7月13日(19世紀詩IV)ランボー『イリュミナシオン』──叙情的主体の消滅
授業の方法
授業では、それぞれの文芸思潮を代表する作家のもっとも重要な作品を選び、いくつかの部分を翻訳を通して掘り下げて読解することによって、その作品の魅力を説き明かす。みなさんは、授業を手がかりに読書を進めることによって、文学テクスト読解の実演に接すると同時に、文学の〈凄み〉を認識することになるであろう。
成績評価方法
学期末に提出してもらう4000字程度のレポートによる(詳細はガイダンスおよび授業中に指示する)。
履修上の注意
授業では、重要箇所を抜粋したテクストを使用することになる。興味をもった作品があったら、元となっている作品全体に積極的に取り組んでいただきたい。授業期間中に何か一作(長大な作品の場合にはその一部)を読み通すことができれば、レポート作成は容易になるはずである。