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最終更新日:2024年10月18日
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現代教育論
教育・学校心理学
誰もが経験し、かつ言葉としても認知している「教育」。意識的であれ無自覚的であれ、この「教育なるもの」の定義を「教え育てること」として初期設定したり、「学校の中に教育が存在する」と決めつけてしまったりする人が多くないか。もしそうだとすれば、そこに根源的な間違いが潜んでおり、それにより教育実践の可能性が大きく制約されてしまうし、それどころか難題の発生源となることもある。実際、不登校問題など、学校教育の現場で「教師-児童・生徒・学生」関係がうまくいかない背景として、教育者なりの「善意」に基づいた「べき論」が被教育者に一方的に押しつけられるために生じる心理的抑圧の問題が存在しているケースも少なくない。いずれにせよ、教育に対する「思い入れ」の強さがそのまま「思い込み」の強化に転じてしまう愚から脱する必要がある。
上記のような立場を基本とする本講義は、教育的営為に関して、視野を拡大して把握し直せるとともに、柔軟かつ根本的な発想の転換が図れるような力量を涵養しながら、受講者なりの見識を醸成し創造的に論じられる力を育成することを主目的とする。そのための学習支援戦略は、主に以下の三つである。
第一に、大前提として、授業構成を「一般教養の一分野としての教育を学ぶ」という発想と「教育を切り口として教養概念を問い直す」という発想との二本柱で成り立たせ、両者を交差させながら展開する。これにより、表層的には学校に焦点化されがちな教育問題の背景には、家族・地域社会・組織等における人間関係や各種メディアの影響などが複雑に絡みあっており、深みと広がりのある心理社会的問題が存在していることを確認する。
第二に、「教育現場において生じる問題及びその背景」に効果的に迫っていくための手法として、教育問題を「教育の論じられ方の問題」として扱うことを出発点にして、教育学的知識や実践事例などを参照しながら、教育について多角的に検討することにより、受講者が抱えがちな諸々の固定観念を流動化させていく。特に、教育イメージを子どもや学校だけに限定しないとともに、それを「教える-教わる」関係から解放することにより開かれてくる様々な可能性および課題について考察していく。
第三に、「教育現場における心理社会的課題及び必要な支援」を考える際に、「教えこみ」から「学びあい」への転換こそが、教育実践として有効であることを、単なる知的理解としてだけでなく、体験的に味わってもらう。具体的には、受講者どうしでペアやグループを組み、お互いの話を傾聴しあう実習を行うことなどにより、親や子ども達、悩みを抱えた教師などに対する接し方を実感してもらい、コミュニケーション問題の解決に不可欠なスキルの基本を経験できるように配慮する。
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