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最終更新日:2025年4月21日
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音楽論
偽西洋音楽史【事件簿】
「音楽」(と一般的に呼ばれる営みと経験)には、一見すると他の種類の芸術と比べて特異な(存在論的)条件がふたつばかり付き纏っているように思われます。ひとつは、そのつどの演奏を超えた次元に物体として存在しないこと。もうひとつは、にもかかわらず、演奏を取り巻く諸々の物体(楽譜、楽器、映像、録音、レヴューなど)が存在し、それらを使うことで「再演」を試みられること。このふたつの条件が組み合わさることによって、音楽の歴史はそのつどの現在における関心事を推し進めるために、そのつどの過去に存在したとされる(が不在の)音楽をでっちあげることによって、そのつどの未来を切り開いてきた創造的ないし暴力的な捏造行為の連なりとして辿ることができます。
この授業ではそのような観点から、主に西洋の音楽史を「偽音楽史」の集積として読解します。ただしこの読解自体が正史の装いを纏ってしまわないようにも、連続的な通史ではなく、あちこちの時代に散見される偽音楽史の実例を「事件」として編纂し、キーノートを使用した「紙芝居」のオムニバスとして語っていきます。その過程で、偽とはなにか、嘘とはなにか、歴史とはなにか、といった問いをさまざざまな角度から実践的にひねくりまわせるといいです。人工知能の広まりに伴う(歴史記述を含めた)創造行為の問い直しが頭の片隅にあります。
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