S2タームの「微分積分学①」で以下の項目1,2を扱い,Aセメスターの「微分積分学②」で項目3~6を扱うことを目安とするが,担当教員によって,順序や内容に一部変更が加えられる場合がある. 参考のため「微分積分学②」の内容を併せて示す.
S2ターム
1. 一変数関数の微分:
「数理科学基礎」で学んだ関数の極限の概念と一変数関数の微分の定義に基づいて,微分の基本的な性質を論ずる.平均値の定理を用いてテーラーの定理を示し,関数をべき級数として表示するテーラー展開を扱う.
2. 多変数関数の微分 :
二変数関数の場合を中心として偏微分と全微分を扱う.二変数の関数のグラフの接平面,合成関数の微分の連鎖律を学ぶ.また,パラメータ表示された曲線の速度ベクトル,平面曲線の法線ベクトルを扱う.二変数関数の陰関数定理についてもふれる.
Aセメスター
3. 多変数関数の微分(続き):
高階偏微分,偏微分の順序交換ができるための十分条件,多変数関数のテーラーの定理を扱う.また,二変数関数の極大極小問題,有界閉領域における最大最小問題を考える.
4. 一変数関数の積分 :
区分求積法に基づいて定積分の性質を論じる.定積分の区間の端点を動かすことによって不定積分を導入し,「不定積分はもとの関数の原始関数である」という微分積分学の基本定理を得る.また,具体的に不定積分が求められる積分の計算を,広義積分,すなわち,無限区間における積分や区間の端で発散する関数の積分も含めて,主に演習で扱う.
5. 多変数関数の積分 :
二変数関数の場合を中心にして,リーマン積分による多重積分の定義を与える.さらに,多重積分を一変数の積分の繰り返しとして累次積分で表示する.また,ヤコビ行列式を用いた多重積分の変数変換の公式(直交座標と極座標の変換など)を扱い,その応用(面積,体積,平均値など)を論ずる.
6. 無限級数と広義積分 :
べき級数などの関数列の収束,とくに,関数項の級数についての優級数定理,べき級数の収束半径,関数列の一様収束などについて学ぶ.また,極限と微分,積分の順序交換がどのような場合に許されるかを考察する.さらに,広義積分の収束条件について論ずる.広義積分の例として,ガウスの正規分布関数の無限区間における積分を計算する.