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最終更新日:2026年10月16日
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惑星地球科学Ⅱ(理科生)
地球気候の形成・変動と大気海洋システム
ノーベル平和賞にも輝いた2007年発表のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書は,地球温暖化と環境変化に関する社会の大きな関心を呼んだ.だが,2011年の原発事故を経て,地球温暖化への日本社会の関心は一見低下したかに見えた.一方,実際2018年以降毎年の暖候期に経験したように,社会に大きな影響を及ぼす猛暑,豪雨・旱魃(寒候期の豪雪・寒波)などの異常気象への関心は防災・減災上の観点から益々高まりつつあり,異常気象と地球温暖化との関連性が依然として議論されている.実際,2023/2024年の平均気温は世界的に見ても我が国でもこれまでにない高温を記録し,北日本周辺でも記録的な「海洋熱波」を観測した.こうした折,2021年から2023年にかけてIPCCから第6次評価報告書が発表され,地球温暖化への関心が再び高まりつつある.ノーベル物理学賞に輝いた眞鍋淑郎博士が早くから予見した通り,人間活動によるCO2など大気中の温室効果気体濃度の急速な増加と地上気温の顕著な上昇傾向は紛れもない事実である.IPCC評価報告書では,今世紀末までに顕著な温暖化が予測されており,海面上昇や海氷域の減少,海洋の酸性化,中緯度大陸の乾燥化など,地球環境に及ぼす深刻な影響が懸念されている.国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成も,地球温暖化・気候変動問題の解決なくしては困難であろう.我が国でも原発事業の見通しが定まらない中,再生可能エネルギーへの移行が順調に進まない限り,温暖化リスクがさらに高まる可能性も否定できない.そうした中,2015年末に「パリ協定」が締結されて地球温暖化に対する世界的な取組みが開始され,日本政府もようやくその方向に舵を切った.
このように,地球温暖化に対する様々な緩和策や適応策が採られつつある中,まず求められるのは地球気候の成立ちとその過去から現在に至る変遷,さらには温暖化のメカニズムと予測される気候の将来変化に関する科学的理解である.本講義の目的は正にそれであって,地球温暖化を環境問題として社会倫理の観点から論じたり,温暖化の事実や予測をただ受け容れた上でその対策について論じたりすることでもない.平均状態として温暖化しつつある大気海洋系も,内在する自然変動のために常に揺らぎ,過去に例のない極端な天候が生起しやすくなっている.最新の研究により,温暖化シグナルがこうした自然気候変動パターンの変化として現れやすいこと,それ故に温暖化シグナルの地域予測にある程度の不確実性が不可避なこと,さらには10年規模の長期自然変動により地球温暖化が加速したり停滞したりすることなどが示唆されている.よって,気候系の自然変動や天候変動のメカニズムの理解を深めることも,温暖化した将来の防災・社会適合上の観点からも重要である.
本講義では,受講者が高校で地学を履修してこなかったことを前提とし,地球気候の成り立ちや大気・海洋の循環やその変動のメカニズムの基礎を解説したのち,地球温暖化やオゾンホールに代表される人為的気候変化のメカニズムや予測されている気候への影響について解説する.
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