大学院
HOME 大学院 金融工学基礎
学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2025年4月1日

授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。

金融工学基礎

金融工学基礎
それぞれの企業には、ビジネスの中核に据えるような扱いを得意とするリスクと、反対に扱いが不得意で保有したくないリスクが存在する。円滑な経済活動を可能にする為には、各企業が管理を得意とするリスクに集中できるよう、企業間で互いにリスクを交換出来るような仕組みが必要になる。金融市場とそこで取引される金融派生商品「デリバティブ」が正にそれにあたり、企業の持つ複合的なリスクから「市場化可能な部分」を切り離したり、ニーズに沿ってリスクを組成したりすることができる。日々、想像を絶する規模の取引が活発に行われ、新しい商品や取引スキームが次々に登場しているが、これらの活動に理論的基盤を与えているのが金融工学や数理ファイナンスと呼ばれる分野であり、数理的専門性を社会で直に活用出来る数少ない学術領域になっている。

本講義では、金融派生商品の価格評価及びリスク管理に必要な、連続時間における金融工学とそれに必要な数理手法を解説する。この講義では、価格評価を正当化する為の理論的枠組みを解説することに重点を置く。不足しがちな具体的な問題を用いた計算練習や解説は「上級デリバティブ演習I」に譲るので、可能な限りセットで履修してもらいたい。
MIMA Search
時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
291618-10
GEC-MA6720L1
金融工学基礎
藤井 優成
S1 S2
水曜5限
マイリストに追加
マイリストから削除
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
経済学研究科
授業計画
0 誤解を解く為のお話と導入 (ここは簡単。数学は不要) 1 確率測度、確率空間、確率変数、条件付き期待値 2 確率過程、確率積分 3 確率微分方程式の解の存在とその性質 4 伊藤の公式 5 自己充足的取引:この辺りからファイナンスに関わりだします。 6 Black-Scholes 偏微分方程式とFeynman-Kac公式 7 後退確率微分方程式と発展的話題の紹介 8 オプションの価格評価とグリークス 9 確率測度変換 10 マルチンゲール表現定理と複製問題 11 リスク中立測度の存在と無裁定条件 12 確率的な金利下での派生商品評価 付録 A 有用な不等式の公式集 B 確率微分方程式の解のオイラー近似とその収束 C 後退確率微分方程式
授業の方法
講義資料をプロジェクター等で参照しながら進める。講義資料はLMSにアップロードする。途中計算の補足等は板書で行う。講義の前半部分、とりわけトピック(1~4)で行う「数学の準備」は初学者には抽象的で難しい。ただし、四則演算と微積分を正確に行う能力があれば、後半のファイナンスの問題(従ってテスト問題)は解くことが出来る。前半が苦しくても、後半の主題に入る前に諦めないで欲しい。
成績評価方法
期末試験
教科書
特に指定しない。
参考書
金融工学のごく簡単な入門書としては Options, Futures, and Other Derivatives (by John C. Hull) Arbitrage Theory in Continuous Time (by Bjork) Stochastic Calculus for Finance I, II (by Shreve) などが知られている。 確率論や関数解析の参考書として、 Probability Theory: A Comprehensive Course (by Klenke) Springer 実解析入門(by 猪狩) 岩波書店 関数解析 (by 宮島) 横浜図書 をあげておく。なお、KlenkeのテキストはSpringer link よりダウンロード出来る。「関数解析」は絶版のようであるが、生協を通じて横浜図書から定価で手に入るはずです。
履修上の注意
講義を聞き流したり漫然と資料を読むだけで理解できるようなレベルではありません。アップロードする資料による予習・復習は勿論、自習(や場合によっては仲間との学習)を根気強く継続する必要があります。また、「上級デリバティブ演習I」において本講義の補足説明、例題の紹介、練習問題等を行うので、可能な限りセットで履修してください。 より理解を深める為には、他学部開講のものも含め確率過程やルベーグ積分・関数解析の初歩的な内容の講義を履修するか、上記の参考書を用いて自習してもらいたい。