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最終更新日:2024年4月1日

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数理ファイナンス

数理ファイナンスの基本定理 (FTAP = Fundamental Theorem of Asset Pricing) を中心に, 数理ファイナンスの基礎とそれに必要な数学について講義する.

マルチンゲールによるオプション価格付の理論的裏付けは, 無裁定(NA)と同値(局所/σ)マルチゲール測度の存在(EMM)が“ほぼ”同値であることで, その(“ほぼ”ではなく)厳密な主張がFTAPであり, そこでのEMMと真に同値な性質はNFLVR (= No Free Lunch with Vanishing Risk) と呼ばれる. その理解と定理の証明には, 数理ファイナンスで一般的な確率解析に加えて関数解析, 特にBanach空間の双対論あるいは無限次元の凸解析が必要となる. またそのような関数解析的手法は, FTAPのみならず, 例えば凸リスク測度や最適投資/ヘッジ問題といった凸最適化問題など数理ファイナンスの様々な問題において重要な役割を果たす.

本講義ではFTAPの厳密な理解をゴールとして, そのための数学的手法について解説し, 同定理の証明を与えるとともに同様な手法を用いる他の話題についても時間の許す範囲で紹介する.
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
291613-01
GEC-MA6713L1
数理ファイナンス
尾張 圭太
A1 A2
木曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
経済学研究科
授業計画
以下の項目について講義する. 1. 基本概念 (NA, EMM, NFL, NFLVR, NUPBR etc) と有限次元版のFTAP 2. 関数解析からの準備: 局所凸空間(主ににBanach空間)と双対性, L_p空間と一様可積分性, Krein-Šmulian-Grothendieckの定理, Komlós(型)定理など 3. 確率解析に関する補足: 一般のセミマルチンゲールに対する確率積分入門 4. 連続時間のFTAPとその証明 5. その他関連する話題: リスク測度, superhedging dualityなど
授業の方法
zoomによる(リアルタイム) オンライン講義
成績評価方法
最終レポートと数回の宿題
教科書
特に指定しない. 必要に応じて講義ノートを配布する.
参考書
- Delbaen, F. and W. Schachermayer (2006): The mathematics of arbitrage. Springer Finance. Springer-Verlag, Berlin. - Kabanov, Y. M. (1997): On the FTAP of Kreps-Delbaen-Schachermayer. In: Statistics and control of stochastic processes (Moscow, 1995/1996), World Sci. Publ., River Edge, NJ, pp. 191–203. - Aliprantis, C. D. and K. C. Border (2006): Infinite dimensional analysis, a hitchhiker’s guide. Springer, Berlin, 3rd ed. - Voigt, J. (2020): A course on topological vector spaces. Compact Textbooks in Mathematics. Birkhäuser/Springer, Cham. その他講義中に適宜紹介する.
履修上の注意
ファイナンスのための確率I, IIを履修済みであるか, 同時に履修することが望ましい. また(数学の言葉としての)集合と位相について基本的事項を学んでいることが望ましい (確率論等を勉強していればその中で使っているはずなので問題ない).