学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年10月18日
授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。
日本経済史II
日本経済の歴史(現代)
19世紀末に産業革命を達成した日本は、第一次世界大戦前まで順調な成長を示しました。この時期の経済政策の原則は、19世紀欧米の法制度に範を取った古典的な自由放任主義でした。自由放任主義が安定的に機能するには大きく二つの条件があずかっていました。ひとつは、国際金本位制の下、高度に統合された財市場と金融市場です。地域的なショックを環球的に吸収する効率的な金融市場は、個々の主権国家が自由放任主義を採ることを可能にしました。これは日本を含む産業化諸国に共通の好ましい条件です。もうひとつは、当時の日本に特に顕著な条件で、産業化が進むなかでもなお分厚く存在し、遊休労働を抱えていた農林水産業部門の存在です。1920-1930年代、この二つの条件はいずれも失われました。不安定化した国際金融市場と自由貿易体制の動揺は、個々の主権国家に、自国のマクロ的安定性を維持するための裁量的な一国マクロ政策を採ることを要請しました。近代部門の成長は遊休労働の年への移動を加速させ、その結果として生じる労働市場の逼迫は伝統部門における権威主義的な社会秩序を動揺させました。こうした挑戦に直面した日本は、戦時期における計画経済下の試みを経て、第二次世界大戦後、行政府による調整が大きな役割を果たす混合的な市場経済を構成することになります。そして、1990年代以降、再び、行政府の裁量から市場原理へと回帰する改革が試みられ、今日に至っています。この授業の目的は、産業革命期から現在にいたるまでの長期にわたる日本経済の発展を概観し、そこにおける経済制度と経済組織の役割を理解することに置かれます。
MIMA Search