【授業の内容】
第1回 少年法の基本理念と少年事件の流れ
少年法の基本理念について大まかな理解を得るとともに、少年の非行に関し、その発生、捜査・調査から家庭裁判所への送致を経て終局処分に至るまでの一連の流れを概観し、少年事件の手続全体についてのイメージを得る。
第2回 少年法の基本概念と少年事件の登場人物
少年法の基本概念(非行少年の意義、要保護性、法的調査と社会調査等)、少年審判手続において登場する種々の人物(裁判官、家庭裁判所調査官、付添人、検察官等)について、基本的な説明をする。
第3回 少年事件が家庭裁判所に送られる過程と事件の受理
少年事件が家庭裁判所に送致されるまでの手続を概観した上で、事件受理後の手続として、少年事件に特有の観護措置について、理解を深める。
第4回 社会調査と家庭裁判所調査官
少年審判手続における最大の特色といってよい家庭裁判所調査官の社会調査について採り上げる。家裁調査官の専門性、社会調査の実際と意義等について、家裁調査官による講演と質疑応答を予定している。
第5回 審判手続(その1)
少年審判手続の基本原則、審判の開始・不開始決定、審判期日の実際等について採り上げる。
第6回 審判手続(その2)
少年審判手続における適正手続の保障、非行事実や要保護性の認定の在り方(職権証拠調べ義務、補充捜査依頼等を含む。)等について、重要判例を含め、説明する。
第7回 少年事件における付添人の役割
少年事件における付添人の地位、役割等について、刑事事件の弁護人との異同の観点といった視点も加えて検討する。付添人の経験を有する弁護士による講演と質疑応答を予定している。
第8回 終局決定等
少年法上規定されている各種の終局決定について、それぞれの概要と各終局決定の意義、効力の基本的な理解を得る。また、試験観察についてその性質と意義を説明する。
第9回 少年院における処遇
少年院における処遇の基本原則、処遇の実情等について、少年院の法務技官による講演と質疑応答を予定している。
第10回 少年と刑事手続
検察官送致決定や少年の刑事公判の諸問題(少年の刑事公判の特則、科刑における特則、少年被告人に対する量刑、家庭裁判所への移送(少年法55条)等)につき、重要判例にも触れつつ、理解を深める。
第11回 少年事件と被害者
少年事件における被害者保護手続等についての基本的な理解を得る。犯罪被害者支援に携わる弁護士による講演と質疑応答を予定している。
第12回 抗告、再抗告、準少年保護事件
重要判例を踏まえつつ、少年法上の上訴手続全般やその他の準少年保護手続についての基本的な理解を得る。
第13回 少年司法の過去、現在、未来
模擬事例に基づき、少年に対する処遇選択について検討する。あわせて、少年法の改正の歴史や少年司法の現状について概観するとともに、現在議論されている少年法改正について意見交換する。