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最終更新日:2024年4月22日

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現代法哲学

現代の法哲学
 この授業では、法哲学の基本書をテクストとして、現在法哲学の基本問題を検討していく。法哲学の分野は、法とは何かを扱う法概念論と、法とは何であるべきかを扱う正義論に区分されることがあるが、この授業の対象は法概念論であり、正義論は扱わない。
 この授業のテクストは2つある。1つは、A.マーモーの『法の哲学 Philosophy of Law』である。本書は、ケルゼン、ハート、ラズ、ドゥオーキンらの現代的な法理論を検討対象として、マーモーが独自の視点から読み解いていく。もう一つは、J.ディクソンの『法の解明 Elucidating Law』である。本書は、そもそも法を哲学するとはいかなることであるかについて、方法論的な観点から検討が行われる。
 これらの2冊はいずれも、法哲学の基本書として評価されている。この授業では、この2冊をテクストとして精読することで、現代法哲学が何をどのように論じているのかを確認し、検討していく。
 2冊とも、開講時期までには日本語訳が出版されているはずである。英語原典であれば、OPACから無料でアクセスすることができる。特に、法哲学研究者を目指す受講生は、英語原典で読むことが望ましい。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
25-6571
GLP-LS6315L1
現代法哲学
瀧川 裕英
A1 A2
月曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
法学政治学研究科
授業計画
第1回 序論:現代法哲学概観 現代法哲学について概観する。 第2回 ケルゼン H.ケルゼンの法理論について、マーモーの解釈を検討する。Marmor 2011の第1章を扱う。 第3回 ハート H.L.A.ハートの法理論について、マーモーの解釈を検討する。Marmor 2011の第2章を扱う。 第4回 ラズ J.ラズの法理論について、マーモーの解釈を検討する。Marmor 2011の第3章を扱う。 第5回 ドゥオーキン R.ドゥオーキンの法理論について、マーモーの解釈を検討する。Marmor 2011の第4章を扱う。 第6回 法哲学の規範性と法の言語 法哲学の規範性と法の言語に関するマーモーの理解を検討する。Marmor 2011の第5,6章を扱う。 第7回 法の解明 法を解明するとはいかなるプロジェクトであるかを検討する。Dickson 2022の第1,2章を扱う。 第8回 法哲学と法の本質 法の本質を説明することが法哲学の課題であるという主張に対する批判を検討する。Dickson 2022の第3章を扱う。 第9回 法哲学の諸問題 法哲学が対象とする問題の多様性について検討する。Dickson 2022の第4章を扱う。 第10回 法の社会性と規範性 法の社会性と規範性という法の二重性について検討する。Dickson 2022の第5章を扱う。 第11回 法の自己理解 法の自己理解が法理論にとってなぜ重要であるかを検討する。Dickson 2022の第6章を扱う。 第12回 間接的に評価的な法哲学 法哲学は評価的判断をしなければならないが、それはあくまで間接的な意味での評価的判断に過ぎないという主張を検討する。Dickson 2022の第7章を扱う。 第13回 法哲学の全体像 以上の検討を通じて浮かび上がってくる法哲学の全体像を検討する。Dickson 2022の第8章を扱う。
授業の方法
担当者には、報告の8日前にレジュメを作成して配布してもらう。 他の参加者は、事前にテキストとレジュメに⽬を通しておく。 議論は<ボトム・アップ討論方式>で行い、全員が参加する。
成績評価方法
筆記試験を行わない 平常点を考慮する レポートを課す 成績をA+・A・B・C+・C-・Fで評価する (レポート50%、平常点50%)
教科書
1. Marmor, Andrei. (2011) Philosophy of Law. Princeton, N.J. : Princeton University Press. https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/***** 森村進監訳『現代法哲学入門』(勁草書房, 2023) 2. Dickson, Julie. (2022) Elucidating Law. Oxford: Oxford University Press. https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/***** 森村進監訳『法哲学の哲学』(勁草書房, 2024) 英語原典はいずれも、電子媒体で利用可能である。
参考書
瀧川裕英・宇佐美誠・大屋雄裕『法哲学』(有斐閣、2014年)
履修上の注意
この授業の検討対象は、具体的な正義論ではなく、法理論やそのための方法論である。