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最終更新日:2024年4月22日

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現代法の基本問題

 本講義は、現行エジプト民法典(1949年施行)を日本民法典(ボアソナード民法典を含む)およびフランス民法典と比較することにより、エジプト民法典の特徴を明らかにすることを目的とする。
 エジプト民法典は、日本民法典と同様、西洋近代法(特にフランス法)の強い影響を受けて制定された(法準則の具体的内容にはイスラーム法も影響を与えたと言われているが、その影響の程度そのものが議論の対象になっている)。他方、周辺諸国での民法典制定に際しては、エジプト民法典が参照されることになった(エジプト民法典と相当程度共通の内容を持つ民法典もある)。このため、エジプト民法典は、現代中東法において特に重要な地位を占める法典の一つになっている。
 法継受という体験を日本と共有するエジプトが、どのようにして民法典を制定するに至ったか、また、そこで作られた民法典はどのような特徴を有するのか、という問題を、他の上記民法典と比較しつつ検討するのが本講義の目的である。具体的には、所有権に関連するいくつかのテーマを取り上げ、配付資料(主として、エジプト民法典、フランス民法典、ボアソナード民法典からの抜粋)に基づき質疑応答を行い、比較検討を行う。場合により、イスラーム法にも言及する。
 前半は講義形式で行うが、後半は資料に基づく議論に重点を移す。質問への応答ならびに議論への貢献度を平常点として考慮する。
 講義の題材そのものはエジプト民法典であるが、法科大学院の学生諸君にとって、翻って我々の民法典の特徴を再認識する機会となれば幸いである。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
25-6264
GLP-LS6302L1
現代法の基本問題
両角 吉晃
A1 A2
火曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
法学政治学研究科
授業計画
 講義の前半では、後半の授業で行う具体的な法準則の検討の際に必要となる前提知識について講義形式で説明する。まず、エジプト民法典の制定過程とそれを取り巻く政治・社会状況、そしてその後の推移について概観し、次に、エジプト民法の基本的なルールについて説明する。  後半では、具体的な法準則の比較検討を行う。所有権、占有、時効等の法制度について、日本法、フランス法、エジプト法を比較しながら諸法の特徴を検討する。エジプト民法典の条文等、事前に資料を配布するので、授業前にその内容を確認しているということ前提に、資料についての質問に答えてもらい議論を行うという形で授業を進める。 第1回 近代エジプトの誕生 第2回 スエズ運河掘削と外国支配 第3回 イギリスによる「保護国」化 第4回 現行民法典の編纂 第5回 民法典と憲法 第6回 エジプト民法典概要(1) 第7回 エジプト民法典概要(2) 第8回 近代的所有権概念の成立 第9回 所有権関連規定 第10回 物の分類 第11回 占有 第12回 時効取得 第13回 「固有法」と「継受法」
授業の方法
双方向的授業を中心に行う。
成績評価方法
筆記試験を行う。A方式(2時間)による。 平常点を考慮する(筆記試験90%、平常点10%)。 レポートを課さない。 成績をA+・A・B・C+・C-・Fで評価する。
教科書
資料を配付する。 エジプト民法典制定の経緯について、予め、両角吉晃「エジプト民法典小史」(「東京大学法科大学院ローレビュー」第2巻(2007年)151-164頁。http://www.sllr.j.u-tokyo.ac.jp/*****)を参照のこと。
参考書
授業中に指示する。
履修上の注意
特になし。
その他
毎年開講(ただし、主として扱う法分野は変わり得る。) 教員宛の連絡についてはITC-LMSのページを参照のこと。