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最終更新日:2024年3月15日
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法のパースペクティブ
東アジア世界における国際秩序の展開と法
本講義は、19世紀から現在に至るまでの東アジア地域における国際秩序の変動過程を跡付けると同時に、互いに競合する様々な国際秩序像が各々如何なる法体系・法観念(これらは国際法・国内法双方に関わる)に裏打ちされていたかを検討するとともに、そうした法体系・法観念との如何なる相互作用の中で現在の多元的・トランスナショナルな法秩序が形成されてきたか、という問題を歴史学的に対象化することを目標とする。
19世紀初頭の東アジアには、「主権国家」とは異なる主体によって、それ自体多元的な国際秩序が展開していた。即ち周辺の朝貢国を基軸とする冊封体制を統御する清朝政府、それと距離を取りながら独自に限定された対外的諸関係を結んでいた幕藩制下の日本、ヨーロッパ諸国の統治を受ける諸地域における多様な治者/被治者、相互浸透する複数の秩序の間を行き来する商業従事者、これらが互いに作用しながら、一定のバランスを保った秩序を形成していた。講義ではこういった多元的秩序の分析を出発点に、各国の植民地経営、不平等条約の締結と改正、世界的金融体制の展開と東アジア社会、戦時体制の形成と後世への影響、第二次世界大戦後の脱植民地化、日本・中国各々の経済発展と世界的貿易体制との軋轢、といった諸現象を扱う。
非西洋的な起源をもつ様々な秩序像と、西洋起源の「法」の諸側面との接触・相互作用の中で、近現代東アジア世界の国際的法環境が如何に形成されたかを理解し、現代東アジア世界において「法」がもつ意味について考えたい。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
25-6256
GLP-LS6301L2
法のパースペクティブ
松原 健太郎
S1
S2
木曜2限
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講義使用言語
日本語、英語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
法学政治学研究科
授業計画
一回のイントロダクションの後、以下の十二章構成を予定。 1.19世紀初頭における東アジア世界:競合する複数の秩序 2.清朝の統治構造とその広域的帰結 3.日本の開国と法的近代化の意義 4.「進出」する欧米諸国の内部事情と法制度・法観念の多重的展開 5.日本の帝国主義的拡張と条約改正 6.清末の改革と周辺諸国 7.汎アジア主義と革命 8.第一次世界大戦と世界秩序の変容 9.世界経済の動向と東アジア 10.戦時体制の形成と東アジア諸社会 11.戦後脱植民地化と経済発展の法的諸側面 12.現代東アジア国際秩序の諸課題:再び競合する複数の秩序
授業の方法
基本的に日本語による講義形式で行うが、文献およびゲストスピーカーの講義は英語によることもある。授業は討論形式を含む予定。
成績評価方法
期末レポートの提出を求め、必要に応じて口述試験を行う。
教科書
授業において指示する。
参考書
Kentaro Matsubara "East, East, and West: Comparative Law and the Historical Processes of Legal Interaction in China and Japan" The American Journal of Comparative Law, Volume 66, Issue 4, December 2018, Pages 769–789
履修上の注意
一定程度外国語の文献を読む意欲が必要となる。
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