第1回 民法総則(1)
員外貸付の効力に関する最判昭和44年7月4日民集23巻8号1347頁を分析する。先例規範としての「判例」の意義について正確な理解を得る。「判例」と「裁判例」という用語法の意味の違いはどこにあるのか、判例の法源性ないし拘束力とはいかなるものかについて理解する。
第2回 民法総則(2)
民法94条2項の類推適用に関する裁判例を分析する。ある特定の問題設定を前提として、関連する判例を見つけ出すために必要な技法を身につける。各種の判例の検索方法やデータベースの使い方も含めて説明を行う。
第3回 契約(1)
借地契約における法定更新に関する最判昭和58年1月20日民集37巻1号1頁を分析する。まずは、判決理由から事案を正確に読み取る訓練を始める。
第4回 契約(2)
契約の成立に関する大判昭和19年6月28日大審院民事判例集23巻387頁を分析する。引き続き、判決理由から事案を読みとる訓練に重点を置く。この回では大審院裁判例に関する判例集の様式に慣れる。
第5回 不法行為(1)
不作為の因果関係に関する最判平成11年2月25日民集53巻2号235頁他を分析する。最高裁判決の先例的意義は、判決形式によって、その取り出し方が変わってくる。まずは破棄差戻しのタイプの最高裁判決を素材として、破棄差戻しの意義(差戻審に対する差戻しの拘束力や差戻審における審理の対象、破棄自判と破棄差戻しの選択の基準など)を理解したうえで、原審との判断を対比する等の判例理解のアプローチについても学ぶ。
第6回 不法行為(2)
生存可能性の侵害と機会の喪失の法理に関連する最判平成12年9月22日民集54巻7号2574頁を分析する。前回についで上告棄却のタイプの最高裁判決を扱う。併せて、原審の理由とは別の理由により結論を維持するタイプ(理由の差し替え)の最高裁判決の先例的意義を取り出すポイントを学ぶ。
第7回 債権総論
将来債権譲渡の有効性に関する最判平成11年1月29日民集53巻1号151頁他を分析する。最高裁判例のタイプ毎の先例的意義の取り出し方の最後として、破棄自判のタイプを扱う。
第8回 物権(1)
物権的請求権の相手方に関する最判平成6年2月8日民集48巻2号373頁他を分析する。複数の最高裁判決例から判例の準則を取り出す訓練を行う。まずは特定の具体的な問題を設定し、それに関連する裁判例を選別し、それらを総合的に検討して、そこから判例法というべき準則を取り出す技法を身につける。
第9回 物権(2)
背信的悪意者に関する最判昭和43年8月2日民集22巻8号1571頁他を分析する。規範的要件等においては、その判断基準またはその判定に作用する諸ファクターの構造を理解することが重要となる。この回では複数の裁判例の中からそのような実質的な判断基準を取り出す訓練を行う。
第10回 担保物権(1)
抵当権に基づく妨害排除請求に関する最判平成17年3月10日民集59巻2号356頁他を分析する。複数の最高裁判例が、同一の問題に関して一見抵触する判断を示す場合がある。このときこれら相互をどのように関係づけて理解するかについて学ぶ。判例変更の場合と、事案の類型的区別による整合が可能な場合とを論じ分ける訓練を行う。
第11回 担保物権(2)
相殺と物上代位に関する最判平成13年3月13日民集55巻2号363頁他を分析する。前回までに身につけた判例研究の技法を活用して、判例研究を実際に行ってみる。
第12回 家族法
推定の及ばない嫡出子に関する最判昭和44年5月29日民集23巻6号1064頁他を分析する。前回までに身につけた判例研究の技法を活用して、判例研究を実際に行ってみる。
第13回 まとめ
これまでの講義の要点を整理して、補足を適宜行った上、判例研究の技法を総括する。