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最終更新日:2025年4月21日

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発展途上国の政治演習

権威主義体制におけるジェンダーと政治
ジェンダー平等が世界的潮流となるなか、女性議員割合の世界ランキング上位に権威主義体制の国が多いことを不思議に思ったことはないでしょうか。列国議会同盟(IPU)のランキングによれば、2025年2月現在、下院ベースのランキング1位はルワンダで、キューバ、ニカラグアが続き、5位はアラブ首長国連邦(UAE)となっています。

権威主義体制が、しばしば女性の教育機会やリプロダクティブ・ライツを制限するような政策を行う一方で、ジェンダー・クオータの導入による女性の政治参画や、経済活動におけるジェンダー平等のような政策を推進するのはなぜでしょうか。権威主義体制における女性の政治参画は、女性の実質的代表につながっているのでしょうか。また、政党や市民はどのような認識をもっているのでしょうか。

本演習では、民主主義体制に比べて依然研究の少ない「権威主義体制におけるジェンダーと政治」をテーマに、関連する最新の論文(主に英語、15-20ページ程度)を講読します。主体的な学習を通じて、権威主義体制におけるジェンダー平等政策や女性の政治参画の現状とその歴史的背景、国内・国際政治にかかわる要因、アフリカおよび中東諸国の事例に関する理解を深めることが目標です。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
25-304-175
GLP-LP6316S2
発展途上国の政治演習
馬場 香織
S1 S2
水曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
法学政治学研究科
授業計画
現時点で決定している課題文献は以下の通りです(追加・入れ替えの可能性あり)。 ・三浦まり(2024)「クオータはどのような変化をもたらしたか?〜変化に関する研究〜」三浦まり編『ジェンダー・クオータがもたらす新しい政治』法律文化社。 ・遠藤貢(2024)「ルワンダ〜クオータ制をめぐる政治と政治体制」三浦まり編『ジェンダー・クオータがもたらす新しい政治』法律文化社。 ・Bjarnegård, Elin, and Pär Zetterberg. 2022. “How Autocrats Weaponize Women’s Rights.” Journal of Democracy 33(2): 60-75. ・Bush, Sarah Sunn, and Pär Zetterberg. 2024. “Gender Equality and Authoritarian Regimes: New Directions for Research.” Politics & Gender 20(1): 212-216. ・Jiang, Xinhui, and Chuanmin Chen. 2024. “Gender Differences in Policy Preferences of Legislators: Evidence from China’s National Legislature.” Politics & Gender 20(1): 137-161. ・Lust, Ellen, and Lindsay J. Benstead. 2024. “Is the Future Female? Lessons from a Conjoint Experiment on Voter Preferences in Six Arab Countries.” Comparative Political Studies 57(14): 2376-2413. ・Mechkova, Valeriya, and Amanda B. Edgell. 2024. “Substantive Representation, Women’s Health, and Regime Type.” Comparative Political Studies 57(14): 2449-2481. ・Shalaby, Marwa, and Lena Wängnerud. 2024. “Gender and Authoritarian Politics: Citizens and Elites’ Responses to Gender Reforms.” Comparative Political Studies 57(14): 2263-2280.
授業の方法
演習形式で行います。 参加者は課題文献を事前に読んで、授業に参加します。詳細は第1回授業時に説明しますが、参加者全員が毎回1000〜3000字程度のコメントシートを事前に提出します。また、各回には要約担当者が1人ないし2人割り当てられます。要約担当者は課題文献の要約レジュメ(A4紙3枚程度)を事前に作成し、参加者から提出されるコメントシートにあらかじめ目を通した上で、授業当日はディスカッションのモデレーターを務めます。
成績評価方法
(1)授業への積極的参加(40%) テキストの分析、疑問点の提示、事例の考察など、討論に積極的に参加する態度 (2)コメントシート(30%) コメントシートの提出。単なる感想文ではなく、分析的でユニークな内容 (3)要約レジュメとモデレーター(30%) 内容を的確に、適切な分量でまとめている。課題文献および関連するテーマへの理解を深めるために、参加者を効果的にディスカッションに巻き込む熱意や工夫がみられる
教科書
三浦まり編『ジェンダー・クオータがもたらす新しい政治:効果の検証』法律文化社(2024) その他、ジャーナル論文。
参考書
アフリカおよび中東政治の概説書を読んでおくことをお勧めします。 例えば以下を参照してください。 ・末近浩太『中東政治入門』ちくま新書(2020). ・今井宏平編『教養としての中東政治』ミネルヴァ書房(2022) ・宮本正興・松田素二編『改訂新版 新書アフリカ史』講談社現代新書(2018)
履修上の注意
毎回、英文20ページ程度の論文を読むことに加え、コメントシートの作成のために関連する文献やデータにあたる必要があります。粘り強く取り組み、積極的な議論参加に挑戦する方を求めます。