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最終更新日:2026年10月16日
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法哲学の基本問題(7)
法哲学の基本問題(7)――尊厳と正義
この授業では、尊厳の価値を基礎に置く正義論を検討します。
「人間の尊厳」は、世界人権宣言を初めてとして各種人権文書に記されており、現代社会における最も基本的な価値の一つだと考えられています。
しかし、尊厳の概念は多義的で捉えどころがありません。また、尊厳の根拠についても意見が激しく対立しています。尊厳の主体は人間なのか、それとも個人なのか。なぜ人間に尊厳があるのか。尊厳の根拠は自律性にあるのか。自律的でない人間、例えば幼児に尊厳はないのか。人間以外の動物に尊厳はないのか。このように、尊厳は極めて論争的な概念であり、共有された見解が得られているとはいえません。
さらに、尊厳という価値が、いかなる正義に適う制度の構想に結び付くのかもはっきりしません。そのため近年では、尊厳を根拠としない人権論も有力に主張されています。
こうした「尊厳懐疑論」に抗い、尊厳アプローチを提唱するのが、この授業で検討するるテキストです。著者の Pablo Gilabert は、現代の「尊厳主義」をリードする論者です。その最近著であるテキストは、尊厳の理論を提示した上で、それが持つ実践的な含意を検討していす。特に、労働者の搾取・疎外・支配といった資本主義の問題を、尊厳という価値に照らして、批判的に検討していきます。
この授業では、このテクストの読解・議論を通じて、尊厳とはどのような価値なのか、それがどのような制度的含意を持つのかを考察していきます。
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