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最終更新日:2023年10月20日

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比較大学論

大学の比較的考察、および歴史的考察を行う。 この授業では、大学を比較と歴史の視点から考察することにより、大学に関する複眼的かつ幅広い視野を獲得することを目標とする。主にアメリカの大学を対象に講義を行うが、アメリカの大学に関する知識を習得すること自体が目的ではなく、比較史的考察を通して、各受講者が大学に関する思考を深めることを重視する。
大学とは本来、普遍的な知の拠点として、国や地域の枠組みにとらわれずに世界的に知的活動を展開させる性格を潜在的に有している。一方、近代社会の成立以降、大学が本質的な機能として担ってきた高等教育は各国の教育制度において人材養成・配分機能の重要な一角を担い、ゆえに、教育内容の特性、中等教育制度との関係、労働市場との関係などの点において、その構造と機能は国ごとの独自性を持っている。また、大学の活動のもうひとつの主軸である研究活動は、それ自体は普遍性を志向する活動であるが、その具体的態様は、研究資金と研究の場の提供を通じて社会における諸勢力(とりわけ政府)との関係に規定されており、その実態は国によって異なっている。すなわち、大学は本来的な性向として普遍性を追求しつつも、その教育機能をとっても研究機能をとっても、あるいは社会貢献機能をとっても、現実的には各国の政治・経済・文化等、広い意味での社会の諸条件の中でそれら機能を果たしている社会的組織である。またそこでは、それら諸条件の時代的変化の中で歴史的に形成されてきた大学の外的・内的構造が紐帯として現実の大学のあり方を大きく規定してもいる。
 大学・高等教育について包括的な理解を持つ上では、普遍的・一般的な大学のあり方を各国の特殊性を捨象して捉えることが必要である。しかし、大学・高等教育は歴史的な社会変動や各国独自の社会的諸条件から独立して真空の中に存在しているわけではない。それゆえ、大学・高等教育をその実態を伴ったかたちで把握する上では、歴史的にみた大学・高等教育の変容、各国の諸条件の違いを反映した大学・高等教育の特殊性を視野に入れなければならない。さらには、そのことと関係しつつ、大学という存在の定義自体が国によって異なり、またとりわけ現代では一国の内部でも多様化しているという実態を踏まえるとき、そもそも大学をどう定義付けうるのかという問題自体、一義的な解答を与えられる問いではない。
 本講義では、アメリカの大学を対象に検討を行うが、それは、アメリカの大学が戦後日本の大学改革のモデルとなり、あるいは現在世界で大学改革のモデルと位置付けられていることが直接の理由ではない。アメリカの大学システムは高度な多様性を備えており、その多様性の検討を通して、大学・高等教育のあり方を多角的に検討し、我々の持つ大学像を拡張することが主な目的となる。さらには、教育や学術、社会との連携など、多方面でこれまで様々な取組が行われてきた歴史を振り返る中で、現代の問題にも通じる、大学・高等教育の本質的な使命や課題にアプローチする視座を、本授業を通して培ってもらいたい。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
23-214-05
GED-IE6400L1
比較大学論
福留 東土
A1 A2
土曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教育学研究科
授業計画
1. 比較・歴史研究の射程と方法 2. アメリカ大学の構造的特質(1) 3. アメリカ大学の構造的特質(2) 4. 大学の多様性―カーネギー大学分類の分析 5. 現代アメリカの大学 6. ヨーロッパの大学と植民地カレッジ 7. 独立後の大学と大学ガバナンス―ダートマスカレッジ・ケース 8. カレッジの教育―「イェールレポート」の分析 9. 実務的教育と大学―ランドグラント・カレッジの成立と展開 10. 研究大学と大学院教育 11. 大学のシステム化:拡大と多様化・階層化と標準化―19世紀末から20世紀前半の大学 12. 研究大学モデルに関するケーススタディ 13. 大衆化・民主化・統制―戦後の大学
授業の方法
講義はできるだけ事前講義または補足講義とし、授業中は受講生の発表、およびディスカッションを重視する。講義と資料の配信にGoogle Classroomを用いるので定期的に確認すること。 授業の課題は以下の4つとする。 1.事前課題:授業に先立ち、指定の課題論文を読み、事前講義、または補足講義を視聴してくること。授業では、グループディスカッションなど討論形式を多く取り入れるので、必ず事前課題を行ってくること。 2.授業での発表:以下①~③のいずれかの方法により、個別大学の歴史、または自分で設定したテーマについて調査し、授業中に発表を行うこと。 ①授業内容と関連する米国主要大学を一つ選んで、主に創設期の歴史について調べ、当該授業の中で発表を行う。対象候補大学は以下の通り。希望によりこれ以外の大学を選んでもよい(応相談)。受講生は各大学について後掲の参考文献の該当箇所を参考にして発表内容をまとめる。該当箇所については具体的に指示する。複数の学生が一つの大学について調べることもあり得る。 ・植民地大学:ハーバード、イェール、ダートマス、プリンストン、ペンシルバニア、コロンビア ・19世紀前半の新構想大学:バージニア、ミシガン ・ランドグラント・カレッジ:MIT、ウィスコンシン、カリフォルニア、ペンステート、コーネル ・研究大学:ジョンズホプキンズ、クラーク、シカゴ、スタンフォード ・リベラルアーツ・カレッジ:ウィリアムズ、アマースト、スワルスモア、セントジョンズ ②自身の関心のある海外の大学、または機関類型を一つ取り上げ、その歴史について論じる。テーマは自由(創設時の歴史、その大学にとっての歴史的画期、通史など)。対象大学はアメリカに限らない。アメリカの主要な機関類型としては、リベラルアーツ・カレッジ、コミュニティ・カレッジ、営利大学、女子大学、黒人大学、芸術大学など。 ③自身の関心のある特定のテーマを立てて、比較または歴史の観点から論じる。 受講生の発表を、11月中旬以降に行う。各自15~20分程度の動画を作成し、定められた期日までにClassroomにリンクをアップすること。受講生はそれを見てきた上で、次の授業中に質疑応答を行う。希望する対象大学またはテーマを10月28日(木)までに指定のフォームから提出すること。必要に応じて事前に相談すること。 3.授業後の質問・コメントの投稿:毎回の授業後、翌火曜日までに以下のリンクから授業内容に関する質問・コメントを投稿すること。その日の授業を通して関心を持った点、考えたこと、質問などを自由に書くこと。重要なコメント・質問は次回授業で取り上げる。 4.期末レポート:学期末にレポートを作成すること。以下のどちらかから選択すること。①授業で発表した上記「2」の内容を文章化する。 ②授業で扱ったテーマや関連する内容について自分でテーマを立ててレポートを執筆する。 執筆分量はA4用紙3枚程度とする。提出期限は別途連絡する。
成績評価方法
期末レポート、および授業へのリフレクションによる。毎回の授業でリフレクションシートを配布するので、授業を通して考えたこと、質問などを記入して授業の最後に提出すること。 ・授業での発表25% ・期末レポート50% ・事前課題・ディスカッションを含めた授業への貢献、コメントシート 25%
教科書
主に講師作成の資料による。以下は授業前半で用いる論文の一部。詳細は開講時に指示する。 ロジャー・ガイガー(福留東土・張燕訳)「アメリカ高等教育史」。 福留東土「大学の理念・制度・歴史」大学経営・政策コース編『大学経営・政策入門』東信堂、2018年、20-38頁。 Robert Birnbaum, "Governance and Management: US Experiences and Implication for Japan's Higher Education." William Tierney, "Globalization, International Rankings, and the American Model: A Reassessment."
参考書
Altbach, Berdahl & Gumport (Eds.), American Higher Education in the Twenty-first Century. フレデリック・ルドルフ『アメリカ大学史』 潮木守一『アメリカの大学』 中山茂『大学とアメリカ社会』 ほか、適宜、授業中に提示する。
履修上の注意
できる限り毎回ハイフレックス方式(受講生が対面とオンラインを選択可能)で授業を行う。 オンラインのみでの開講となる場合には事前に連絡する。