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最終更新日:2024年4月22日

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教育哲学演習Ⅰ

1980年代以降のいわゆる学際的な「記憶ブーム」は教育学にとっても無視できない重要性を帯びている。教育は本来的に記憶と想起に介入する営みとしての側面を有しているからだ。それにもかかわらず、教育学においてそのような新たな研究動向についてはこれまでのところ十分に検討がなされてきたとはいいがたい。本授業では、とりわけ人文・社会科学領域における近年の記憶論(とくに「集合的記憶」「コミュニケーション的記憶」「文化的記憶」論)に注目しつつ、メモリー・スタディーズを基盤としたメモリー・ペダゴジーの構築可能性を探る。
 本授業を通じて、受講生は(1)「集合的記憶」論の基礎概念および問題構成を習得することができる。(2)「集合的記憶」論との関連で、現代社会における教育について批判的に論じる基本的な構えを身につけることができる。(3)以上のことを前提としつつ、各受講生の個人研究を批判的に再検討する一視点を得ることができる。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
23-211-01
GED-IE6101S1
教育哲学演習Ⅰ
山名 淳
S1 S2
木曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教育学研究科
授業計画
前年度までの授業においては、哲学を中心として、記憶と想起に関する考察を含む重要テクストを選択して、その内容を教育学の観点も交えて検討を行ってきた。今年度は、その関心を引き継ぎつつ、より積極的に他の関連分野(心理学、社会学、メディア論、歴史学、文学、言語学、諸自然科学)をも視野に捉えた学際的な「メモリー・スタディーズ」の全体像を捉えることに重点を置く。そこでは、「メディア」、「アート」、「リプリゼンテーション(代理/表象)」、「アイデンティティ」、「他者」など、さまざまな鍵概念がメモリー・スタディーズと教育学の接点に浮かび上がるはずだ。各受講生の問題関心に基づいて議論の可能性を開いていってほしい。
授業の方法
今回は、アストリッド・エアルの『集合的記憶と想起文化--メモリー・スタディーズ入門』(ドイツ語版、英語版)の内容を検討することによって、メモリー・スタディーズの全体像を捉えつつ、各受講生の関心に基づいて教育学(とりわけ教育哲学)との架橋可能性について検討を行う。検討のための補助手段として、授業担当者の翻訳私案も使用する。授業担当者によるイントロダクションの後、あらかじめ指定した担当受講生が同テクストの担当箇所について報告を行う。その後、まず受講生はリアクションペーパーに各自の感想を記す。その記述をもとにしてディスカッションを行う。最後に、もう一度リアクションペーパーに各自のコメントを記す。授業担当者はそれを持ち帰り、次回の授業においてそれに対するコメントを行い、次の内容へと向かう。学期末には、今回のテクストの著者であるエアル氏とオンラインで繋ぎ、ストリーミングでの検討会に参加していただいて議論を行う(予定)。
成績評価方法
平常点(毎時授業の出席状況および議論への貢献度)および担当報告の総合評価とする(前者50パーセント、後者50パーセント)。
教科書
「参考書」欄を参照。
参考書
Erll, A. (2017): Kollektives Gedaechtnis und Erinnerungskulturen. Eine Einührung. J.B.Metzler Verlag: Stuttgart. Erll, A.: (2011): Memory in Culture. Palgrave Macmillan: .London. Rossington, Michael, Anne Whitehead et al. (Eds.): Theories of Memory: A Reader. Baltimore: Johns Hopkins UP 2007. ホワイトヘッド,A.(2017)『記憶をめぐる人文学』(三村尚央訳)彩流社 その他の参考書については、授業中に適宜指示する。
履修上の注意
授業に対する受講生の積極的な参加を求めます。 「教育哲学演習Ⅱ」も合わせて受講することが望ましいですが、義務ではありません。