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最終更新日:2026年4月20日
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文化資源としての「浮世絵」
本授業は文化資源としての浮世絵(主に浮世絵版画)について述べるものである。
浮世絵版画は、古くから行なわれてきた日本の版画、版技術の中で最もその製作技術が優れているものと言える。それはこれが、絵草紙屋などで広く販売されてきた「商品」であったことに由来するものである。またこれが注文制作ではなく、受容者自らが選んで購入する商品であったことは、それまでの日本美術の受容のあり方を根底から覆す出来事であり、少々大袈裟に言うならば日本美術の歴史の上での画期ということができる。そして商品であるがゆえに、選ばれるモティーフは受容者が求めるであろうテーマを想定して策定されてあると考えられ、そこには既に「マーケティング」が存在していたことを私たちは知る。したがって浮世絵版画に描かれたテーマ、用いられた技法は、それが当時の流行であり、最新の珍しいモノ、コトであったことがわかる。つまりは時代風俗を映した資料でもある。
さらに浮世絵版画は、大量複製、大量頒布が可能であったがゆえに、美術作品では必ずしもなく、媒体(メディア)として機能していくことになった。現代の雑誌やテレビ番組で取り上げられるテーマとはごく近しい関係にあると思われる。また、コマーシャルアートの側面もあると言ってよい。
この授業で主に取り上げる浮世絵版画は、上述のように「商品」であったがゆえに「時代」を如実に反映させていった。しかし一方、浮世絵版画に限らず、ある時代に制作された美術作品は否応なくその「時代」を背景として背負うことになることは自明である。
本授業では加えて、浮世絵版画の「その後」についても触れる。19世紀後半に海を渡った浮世絵版画は、西欧においてジャポニスムを引き起こしていくことになるのだが、明治後の日本はこの現象をどのように捉え、評価し、あるいは利用したのだろうか。つくられた「日本美術史」の中の浮世絵の位置づけは、明治という新国家が置かれていた状況をも物語る。
以上、本授業では浮世絵版画という、日本特有の媒体について、最新の研究成果を踏まえて詳説する。本授業は文化資源としての浮世絵(主に浮世絵版画)について述べるものである。「特異」とも言えるこの浮世絵版画という文化資源について関心を持っていただければ幸いである。
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