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最終更新日:2026年10月16日
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初期仏教研究(1)
初期仏教研究——仏陀の伝記を読む
1990年代、アフガニスタン動乱の中、国外に流出した膨大な量のガンダーラ写本の研究とそれに関連する研究方法の刷新は、20世紀の日本で築かれた「原始仏教」研究――その大半が東京大学を中心になされた――の成果を覆しつつある。今日、最初期の仏教を知ろうとする場合、我々は先行研究の何が理論的に終わっており、どこに可能性の中心があるのかを実証的に吟味しながら、インド語仏典を読み直す必要に迫られている。その作業は、20世紀に確立した「原始仏教⇒部派仏教⇒大乗仏教」というインド仏教史観を変更することになるだろう。
本講義では、紀元前の仏教を「初期仏教」(Early Buddhism)と再定義し、その重要な資料の一つとなるパーリ文献を講読しながら、文献学(高等批評)を駆使して、初期仏教の思想を明らかにすることを目指している。文献読解に並行して、近代仏教学に対する「大乗仏教」概念の誤った影響、新たな枠組みによる思想研究の可能性についても論じたい。
本年度は、仏伝(仏陀の伝記)と呼ばれる資料の中でも最も古い資料を含む文献群を取り上げて、比較研究する。スリランカの上座部大寺派で伝承されたパーリ語の『長部』に収録される「大本経」を解読する。パーリ語の注釈文献も扱うので、予習が必要である。比較材料として、内容が対応するサンスクリット文献、漢訳文献を参照する。読み手の準備さえ整えば、これらの文献は、古代仏教世界への窓となるだろう。
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