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最終更新日:2025年4月21日

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ロシア文化史

エトキント『鞭身派』を読む(2)
ロシアによるウクライナ侵攻にともない、ロシア国民はどの程度プーチン体制や戦争を支持しているのか、という問いが浮上した。一定の国民の支持なしに暴力や言論統制を実行することは不可能だからである。
しかしながら、そのような「国民」というものは、自明のものとしてあらかじめ存在するのではなく、政治的・文化的権力によって構成されるものでもある。近代以降の権力は、国民という概念を生み出しながら、自らそれによって支えられるというパラドクス(あるいは再帰性)のうえに成り立っているのであり、国民という概念は、つねに権力による認識をすり抜けていく掴みがたさをもっている。
本演習では、ロシアを代表する文化史家アレクサンドル・エトキントの代表作『鞭身派:セクト・文化・革命』を読むことにより、「民衆・国民(ナロード)」が、近代ロシア文化のなかでいかに認識されてきたかを考えていく。
エトキントによれば、ナロードは、ロシア国家による自国植民地化の対象として、抑圧・排除される対象として構成された。ナロードはそうした抑圧過程で、宗教セクトなどの独自の文化を発達させた異質な存在として認識されていく。他方、ロシアの知識人エリートたちは、そうしたナロードを神秘化し、そこにロシア・ナショナリズムの文化的資源を認めた。このように、ナロードの創出を介したナショナリズムの生起に文化は大きな責任をもっている、という問題意識をもちつつ、エトキントの議論を追っていこう。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
21253655
GHS-EA602SF4
ロシア文化史
平松 潤奈
A1 A2
金曜3限
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講義使用言語
日本語/ロシア語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
人文社会系研究科
授業計画
1. ガイダンス 2. 統計学的なもの 3. 儀礼的なもの 4. 記号論的なもの 5. 社会学的なもの 6. 民俗学的なもの 7. ユートピア的なもの 8. 性的なもの 9. 身体的なもの 10. 外科的なもの 11. 精神分析的なもの 12. 弁証法的なもの 13. 侵犯的なもの
授業の方法
2024年度の「ロシア文化史」に引き続き、アレクサンドル・エトキント『鞭身派』第1部の重要な箇所をロシア語原文で読んでいきます。 2024年度に読んだ箇所については解説しますので、今回が初めての方も問題なく参加できます。 履修者には、一定量の文章の翻訳を担当し授業内で報告してもらい、それをもとに必要に応じてディスカッションを行う予定です。
成績評価方法
授業中の報告、ディスカッションへの参加などで総合評価します。
教科書
授業中に配布します。
参考書
授業中に配布します。
履修上の注意
ロシア語テクストを講読していきますので、ロシア語の基本文法を習得していることが必要です。