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最終更新日:2025年4月21日

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19世紀ロシア文学読解(2)

ドストエフスキーにおけるゴシック(2)
ドストエフスキーは、ロシアの「遅れた」近代化が花開いた時代の作家だが、彼の多くのテクストは、そうした近代化・西欧化に対する反応・反動として読まれている。たとえば彼の宗教性は、合理主義・個人主義・実証科学といった近代的価値観の浸透に対する反動の最たるものだといえる。
そうした反動性はしかし、ロシアだけに特有のものではない。19世紀ロシアにとりもっとも「先進的」な近代国家であったイギリスも、自らの近代化に対する反動を抱え、それ独自の文化形態ーーゴシック・ジャンルーーを生みだした。
そのような西欧文化における反動としてのゴシックは、あらためてロシアに輸入され、ドストエフスキーにおいて独自の成長をとげる。ドストエフスキー作品のもつ「地下室的な暗さ」は、まさに合理的・啓蒙的な明るさの裏面としてのゴシック・モードだとみなすことができよう。
しかし他方で職業作家ドストエフスキーは、作品を販売して暮らしを立てねばならない、という近代の市場原理の要請に応えるために、戦略的にゴシックのナラティヴ(ホラーやサスペンス)を選んだともいわれる。
このような近代的要請とそれへの反動が、どのようにゴシックという形でテクストに具現しているのかを考えるため、本演習では、研究書を参照しながら、特にゴシック性が色濃く現れていると言われる『白痴』を原文で読んでいく。
この作業のあと時間があれば、他の観点から『白痴』を論じた重要な研究文献を読んでいき、『白痴』の理解を補足したい。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
21253654
GHS-EA602SF4
19世紀ロシア文学読解(2)
平松 潤奈
A1 A2
月曜3限
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講義使用言語
日本語/ロシア語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
人文社会系研究科
授業計画
1. 『白痴』第三部 2. 『白痴』第三部 3. 『白痴』第三部 4. 『白痴』第三部 5. 『白痴』第三部 6. 『白痴』第四部 7. 『白痴』第四部 8. 『白痴』第四部 9. 『白痴』第四部 10. 『白痴』第四部 11. 『白痴』論:実存と宗教 12. 『白痴』論:メディア論 13. 『白痴』論:精神分析
授業の方法
2025年Sセメスターにつづき、ドストエフスキー『白痴』をゴシックやナラティヴの観点から論じた研究書を読み、そこで取り上げられる小説の箇所をロシア語原文で読んでいきます。 履修者には、一定量の文章の翻訳を担当して授業内で報告してもらい、それをもとに必要に応じてディスカッションを行っていく予定です。
成績評価方法
授業中の報告、ディスカッションへの参加などで総合評価します。
教科書
授業中に配布します。
参考書
授業中に配布します。
履修上の注意
ロシア語テクストを講読していきますので、ロシア語の基本文法を習得していることが必要です。 基本的には、Sセメスターの「19世紀ロシア文学読解(1)」を受講していることを前提として授業を行いますが、受講していなくても履修可能です。