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最終更新日:2024年4月22日
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コミュニケーションの限界
コミュニケーションの限界/Limits of Communication
「コミュニケーションとは何か」という広くいえば言語哲学的なテーマを、行為論的観点も交えつつ論じていきたいと思います。講義形式の授業ですが、質問や討論は大歓迎です。
コミュニケーションは、第一義的には、人と人とのあいだに、かつリアルタイムの密接なやりとりとして、成立するものだといえます。とはいえもちろん私たちは、人と動物との、動物と動物との、または機械と機械とのあいだの「コミュニケーション」についても語ります。また、遺跡から出てきた作成者不明の木片の模様や宇宙から届いた謎の信号を、何かの「メッセージ」ではないかと疑ったりもします。これらの「コミュニケーション」や「メッセージ」の用法は、比喩的側面を含んでいるように見えます。もしそれが比喩的であるとすれば、どのように比喩的なのかを明らかにしなければなりません。
授業ではまず、導入として、コミュニケーションにまつわる諸定義(言語とはなにか、記号とはなにか、コミュニケーションと言語との関係、そもそもコミュニケーションをどのようなものと規定すべきかといった諸問題)を論じます。そこではなるべく無難に論じるために、たとえばH・P・グライスやJ・L・オースティンといった哲学者たちの古典的なアイデアを援用します。
そして次に、より個別な話題として、私たち以外のさまざまな種類の存在者(獣、ロボット、地球外知的生命体、過去の時代の著者……等々)とのコミュニケーションの可能性について検討します。あるいはまた、限界的な状況、すなわちさまざまな意味で制限された「コミュニケーション」の状況について、そこで生じうる困難や課題について考察する予定です。そこではたとえばH・フロイデンタールのLINCOSなども(これも歴史的なものですが)取り上げてみたいと思っています。
講義を通しておそらく複数の独立した議論やトピックが総覧的に登場することになります。参加するみなさんとしては、それらのなかからご自身にとって問題として共有できると思えるものを、再構成していただければ幸いです。それをとりあえず目標としたいと考えます。
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