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最終更新日:2024年4月22日

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野外調査法

野外調査法 (1)
言語学におけるフィールド調査法 (field methods in linguistics) とは、「ある言語についてその言語が話されている自然な環境でデータを収集し分析する方法」のことである。したがって、日本語母語話者がサポテク語、ナワトル語、マサテク語などあまり一般には知られていない言語を研究するような場合だけでなく、英語やタガログ語、トルコ語、さらには日本語の方言などを研究する場合も含んだ言語研究の方法論を指す。

この意味でのフィールド調査法およびフィールドワークは100年以上の歴史を持つ言語学で確立された方法論である。アメリカの大学院では言語学者になるための必須のトレーニングの一つと考えられており、言語学研究室でも伝統的に「野外調査法」として重要な科目の一つであった。

そこで、この授業ではフィールド調査法およびフィールド言語学にまつわる理論と技術を学ぶ。単に教科書からだけでなく実践を通して体得する。

この授業の目的は具体的には以下の通りである:

[A] フィールドワークとは何かを教科書とそれに関する授業での議論を通して理解する。
[B] 教科書から得た知識を実際に言語コンサルタントとの作業を通じて体得する。
[C] 自分が全く知らない言語でも話者から情報を得ることでその言語の概要を知ることができるようになる。
[D] 以上を通して自分の興味のある言語についてオリジナルな研究ができるようになる。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
21240155
GHS-GC6A02S1
野外調査法
長屋 尚典
A1 A2
水曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
人文社会系研究科
授業計画
1. フィールド調査とは何か? 2. フィールド調査の方法 (1) 3. フィールド調査の方法 (2) 4. 調査実習 (1) 5. 調査実習 (2) 6. 調査実習 (3) 7. データセッション (1) 8. 調査実習 (4) 9. 調査実習 (5) 10. 調査実習 (6) 11. データセッション (2) 12. 調査実習 (7) 13. 調査実習 (8) 14. 調査実習 (9) 15. データセッション (3)
授業の方法
この授業では、自分の全く知らない、あるいは母語ではない言語について調査し分析する方法を実習を通して身につけることを目標とする。したがって、授業ではフィールド言語学の基礎事項を教科書を通して理解するだけでなく、話者とともに実践し、自分で分析する。フィールド調査にまつわる機材利用方法やアプリケーションの利用方法 (ELAN、FLEx、Praat など) についても解説する。 具体的には、当該の言語の音声・音韻 (音素、音素配列論、アクセントなど)、形態論 (形態素の種類、接辞法、重複法)、統語論 (語順、ヴォイス、テンス・アスペクト) などの記述を試みる。
成績評価方法
成績評価はふだんの調査実習への参加と各自のプロジェクトについてのレポートで評価する: 授業参加 70% プロジェクト 30%
教科書
Bowern, Claire. 2015. Linguistic Fieldwork: A Practical Guide. 2nd edition. Palgrave Macmillan.
参考書
授業において適宜紹介していくが、たとえば以下の文献が参考になる: [1] Ladefoged, Peter. 2005. A Course in Phonetics. Fifth edition. Australia : Thomson Wadsworth. [2] Catford, J.C. 2001. A Practical Introduction to Phonetics. Oxford Textbooks in Linguistics. Oxford University Press. [3] Payne, Thomas E. 1997. Describing morphosyntax: A guide for field linguists. Cambridge: Cambridge University Press. [4] 斎藤純男・田口善久・西村義樹 (編). 2015.『明解言語学辞典』東京: 三省堂.
履修上の注意
フィールドワークの実習を行うため参加者を言語学研究室所属の学生 (特に学部3年生) に限定する。SセメスターとAセメスターの両方を受講することが前提である。 フィールド言語学という授業の都合上、「音声学」「言語学概論」を履修済みであり、「言語類型論の基礎」を履修した (あるいはしている) ことが前提となる。1回欠席した分を後から復習するということはできない。通年かつ全出席が基本である。 フィールド調査をともなう授業であるため、他の授業と同じかそれ以上の学習時間の確保が必要である。講義の際には教科書の指定箇所をあらかじめ熟読し要旨をまとめて提出してもらったり、フィールドセッションの際にはその回の調査項目を準備したり整理・分析・入力等してもらう予定である。データセッションの際には収集したデータを整理しどのような一般化・分析が可能か考えて提案することが求められる。