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最終更新日:2025年4月21日

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東アジア社会文化論

移動する中国朝鮮族と東アジア
 この授業では、東アジアの近現代における人の移動の歴史的展開に留意しつつ、コリアン・ディアスポラと呼ばれる人々のなかでも顕著な移動性が見受けられる中国朝鮮族を取り上げて論じる。具体的には、朝鮮半島から中国への移動、日本及び韓国などへの移動、さらにはそれらが交差する歴史的プロセスなどに言及し、それぞれの社会や地域に与える影響について学ぶ。言い換えれば、19世紀末の列強による侵略、日本による植民地支配、さらに南北分断と冷戦体制、そして現代のグローバル化にいたるなかで、朝鮮半島から日本、中国、旧ソ連の中央アジア諸国などに離散したディアスポラと呼ばれる人々とその子孫らの歴史および現状について理解を深めていく。
 この授業を通して受講生は、以下、三つの知見を獲得することが目指される。すなわち、①中国朝鮮族の歴史的な形成過程および現代の移動をめぐる諸相についての理解、②東アジアの諸国家に跨るエスニシティの実態的なありようについての把握、さらには③国民国家を相対的に捉え、グローバル化におけるエスニシティのダイナミズムを捉える視点の獲得である。講義に際しては、「いま、ここ」を起点にしつつ「あのとき、あそこ」の事象に言及する歴史的な縦軸と、「いま、ここ」に生きる他者との関わりを捉える横軸を補助線とし、東アジアの総合的な理解に繋がるよう工夫を凝らす。最終的には、新たな「東アジア」像を構築するための基礎的な素材を提示することにもなるだろう。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
21236506
GHS-KS6B01L1
東アジア社会文化論
権 香淑
A1 A2
木曜3限
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講義使用言語
日本語、韓国朝鮮語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
人文社会系研究科
授業計画
第1回(10/5)ガイダンス:講義概要、留意点の説明、研究動向の共有 第2回(10/12)朝鮮族の移動と歴史的概観  第3回(10/19)朝鮮族をめぐる問題群と理論的視座① 第4回(10/26)朝鮮族をめぐる問題群と理論的視座② 第5回(11/2)移動する朝鮮族と中国:沿海都市・海外への/からの移動を検討する。 第6回(11/9)移動する朝鮮族と北朝鮮:大躍進、文革などの歴史を踏まえ、朝僑、華僑との対比から考察する。 第7回(11/16)移動する朝鮮族と韓国: 在韓朝鮮族社会の変遷と諸問題について論じる。 第8回(11/30)移動する朝鮮族と日本: コミュニティ形成、文化資本、華僑華人社会とのつながりなどに言及する。 第9回(12/7)移動する朝鮮族と東アジア:家族・親族ネットワークと「跨境家族」についての理解を深める。 第10回(12/14)移動する朝鮮族と「故郷」:帰郷する人びとの生活実践に関する事例を共有する。 第11回(12/21)移動する朝鮮族と「国籍/戸籍」:在日コリアンと比較して分析する。 第12回(1/ 4)移動する朝鮮族と次世代:在日中国朝鮮族二世のアイデンティフィケーションを考える。 第13回(1/11)プレゼンテーションとまとめ:受講生による報告と議論を行う。 *講義内容は、臨時の事情により、変更または前後することがある。
授業の方法
◆基本的に講義形式で進め、適宜、オンライン形式を組み合わせる。 ◆授業の進捗状況を踏まえ、議論の時間を設けるようにする。 ◆毎回の小課題(フィードバック)を通して、受講生の疑問や質問を把握し、できる限り授業内で取り上げながら進める。 ※詳細は初回ガイダンスのときに説明する。
成績評価方法
授業のリアクションペーパー、授業参加の姿勢(報告や討論を含む)、期末課題(レポート)の総合点で評価する。レポート課題の詳細については、初回のガイダンスの際に案内する。
教科書
権香淑『〔増補新版〕移動する朝鮮族:エスニックマイノリティの自己統治』彩流社、2019年
参考書
村井吉敬編『アジア学のすすめ〈第2巻〉アジア社会・文化論』弘文堂、2010年 中国朝鮮族研究会編『朝鮮族のグローバルな移動と国際ネットワーク』アジア経済文化研究所、2006年 松田素二・鄭根埴編『コリアン・ディアスポラと東アジア社会』京都大学学術出版会、2013年 権香淑・宮島美花編『中国朝鮮族の移動と東アジア:元日本留学生の軌跡を辿る』彩流社、2020年」 *その他、適宜授業で紹介する。
履修上の注意
◆履修を希望もしくは検討している学生は、第1回目のガイダンス(対面)に必ず参加すること。 ◆毎回の授業までに指定したリーディングや課題をこなすこと。
その他
この授業は、文学部(学部)「韓国朝鮮文化特殊講義IX」および人文社会系研究科韓国朝鮮文化研究専攻韓国朝鮮言語社会専門分野(大学院)「東アジア社会文化論」の共通講義、すなわちいずれの課程の単位としても取得可能な科目である。