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最終更新日:2024年4月22日

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行為者であること、人であること

行為者であること、人であること/Agency and Personhood
 開講科目名は「哲学的行為論・パーソン論」あたりにしておけばよかったかもしれません。仕様を私が取り違えたため、開講科目名のところにも講義題目のようなものが入っています(これを書いている時点でそこはもう変えられないようです)。ともあれ、本講義の全体で私が示唆したいことはシンプルで、すなわち、行為者であること(agency)も、人であることも (personhood)、きわめて基本的な概念であり、他の何らかの概念によって説明したりそこに還元したりすることが非常に難しいということです。そのことを示すために、授業では、たとえば行為者の自由や人の同一性をめぐって提出された哲学的なパズルのいくつかを概覧し、その諸解決案を検討することによって、それらのパズルの成り立ちや根源を探りたいと思います。なお本講義は、行為より人についての議論のほうがどちらかといえば比重が大きく、そこでは分裂の問題や転送、復活、転生といったケースなどを取りあげる予定になっています。
 もう一つの講義テーマとして「時間」が挙げられます。授業ではとりわけ、これから行なう行為や、これから生まれる人といった未来の存在に対するわれわれの常識的態度の分析を試みたいと思います。そして、そのような未来の存在(また過去において未来の存在だったもの)を、どのように哲学的に整合的に扱えばよいのかについて論じるつもりです。「様相」の話もすこし関わってきます。
 講義を通して複数の独立した議論やトピックが総覧的に登場することになると思いますので、それらのなかからご自身にとっても真に問題だと思えるものを、もし再構成していただけるなら幸いです。とりあえずそれを目標としたいと考えます。

In this class, we will survey the philosophical problems on topics such as the freedom of agents and the identity of persons, examine possible solutions to them, and investigate the structure of those problems and their roots. This class will also discuss the question of how philosophical theories should treat the “future entities”, such as future actions that are intended to be performed and future persons who will be born. What I want to suggest in this class is that both agency and personhood are difficult to reduce to some other concepts. (However, this class is conducted in Japanese.)
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
21230406
GHS-GC6D01L1
行為者であること、人であること
柏端 達也
A1 A2
月曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
人文社会系研究科
授業計画
おおむね以下のイメージです。 1. 未来の存在と存在者の同一性 2. 行為と一人称的視点 3. 自由と責任の起点 4. 人とは何か 5. 人と通時的同一性の問題 6. 分裂の思考実験をめぐって 7. 復活(resurrection)について 8. 存在の開始と存在の終焉 9. 双子の問題(人と双子化について) 10. 双子の問題(自分が双子であった可能性について) 11. いわゆる複利や慈愛の思慮といった価値論的な問題 12. 人を誕生させるという選択
授業の方法
講義形式です。
成績評価方法
授業内で課する課題を必須の「試験」とします(90%)。ただし何らかの仕方で、授業への参加や貢献も評価の対象としたいと思います(10%)。
教科書
ありません。資料を用意します。
参考書
授業内にそのつど示唆します。
履修上の注意
予習・復習については、関連するテーマについて授業時間外にちょっとでも考えることが予習や復習になると思います。なお、授業時間内の質問は歓迎です。それによって授業が一時停止したり逸れたりしてもかまいません。