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最終更新日:2024年4月22日

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「概念」をめぐる哲学的難題

昨年度の授業との名目的なつながりで「概念をめぐる」としてしまったが、じつは概念とは戦争、もっというと戦争の罪のことである。実際に従軍体験をもつ哲学者もしくは哲学徒が戦争それ自体を批判的かつ客観的に論じた言説は驚くほど少ない。多くは各人の胸底に秘匿され公にならなかったからでもある。ところが例外的にこの日本には、過去の侵略戦争の罪を自らの体験をもとに告発し続けた〝哲学人〟がいる。しかもみなさんの大先輩である東(京帝)大生であり、私の知るかぎり他大学には(なぜか)いない。本授業ではかつての中国へ出征した二人の哲学徒(石渡毅と竹内芳郎)に焦点を当て、とりわけ前者の特異かつ稀有な半生を、いくつかの映像資料も参照しつつ振り返ることで、反戦思想の哲学的背景と射程を確認してみたいと思う。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
21230405
GHS-GC6D01L1
「概念」をめぐる哲学的難題
石川 求
A1 A2
火曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
人文社会系研究科
授業計画
1 ガイダンス 2 出征までの哲学修行 3 〝肝試し〟という戦争犯罪 4 シベリア抑留と密告拒否 5 山本幡男と映画「ラーゲリより愛を込めて」 6 石原吉郎、鹿野武一、菅季治 7 撫順戦犯管理所への移送 8 認罪と再生 9 教育と洗脳 10 戦後日本の戦争加担 11 無自覚の植民地主義 12 謝罪の行方 13 まとめと回顧 ※ 参加者の関心に応じて臨機応変に脱線もする。
授業の方法
基本的に講義形式によるが、適宜ディスカッションも交えたい。大学院生には議論を先導していただく。
成績評価方法
毎時間のリアクション・ペーパーを含めた授業への参加および貢献度50%、期末のレポート(ないし試験)50%。
教科書
プリントのコピーを配布する。
参考書
・野田正彰『戦争と罪責』(岩波現代文庫、2022年) ・絵鳩毅『皇軍兵士、シベリア抑留、撫順戦犯管理所――カント学徒、再生の記』(花伝社、2017年) ・石田隆至・張宏波『新中国の戦犯裁判と帰国後の平和実践』(社会評論社、2022年) ・Barak Kuschner: Men to Devils, Devils to Men――Jananese War Crimes and Chinese Justice, Harvard University Press 2015 ※ その他は授業中に指示する。
履修上の注意
参考書に挙げたとくに『戦争と罪責』を事前に読んでおくことをお薦めする。
その他
2024年1月末に希望者による中帰連平和記念館(@川越市)の見学会を予定している。