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最終更新日:2024年8月27日
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応用倫理文献講読
環境倫理文献購読
いわゆる環境倫理と呼ばれる分野における文献を日本語で講読する演習。講義形式と演習形式を併用する。
本演習では今までJ. Miller, D. S. Yu, & P. van der Veer ed., Religion and Ecological Sustainability in China, M. Tucker & D. Williams ed., Buddhism and Ecology: the Interconnection of Dharma and Deed(2015年度)、リン・ホワイト『機械と神―生態学的危機の歴史的根源』、ロデリック・ナッシュ『自然の権利』、アラン・ドレングソン、井上有一『ディープ・エコロジー―生き方から考える環境の思想』、ピーター・シンガー『動物の解放』、J. E. ラブロック『地球生命圏―ガイアの科学』、トマス・ベリー『パクス・ガイアへの道―地球と人間の新たな物語』(2016年度)、ファン・ポッター『バイオエシックス―生存の科学』、アルド・レオポルド、『野生のうたが聞こえる』、岩崎茜『アルド・レオポルドの土地倫理―知的過程と感情的過程の融合としての自然保護思想』、石山徳子『米国先住民族と核廃棄物―環境正義をめぐる闘争』、ジョン・パスモア『自然に対する人間の責任』、鬼頭秀一『自然保護を問いなおす―環境倫理とネットワーク』(2017年度)、ウルリヒ・ベック『危険社会―新しい近代への道』、ベアード・キャリコット『地球の洞察―多文化時代の環境哲学』、ジェームス・スワン『自然のおしえ 自然の癒し―スピリチュアル・エコロジーの知恵』、桑子敏雄『生命と風景の哲学―「空間の履歴」から読み解く』(2018年度)、シュレーダー=フレチェット『環境の倫理』、R.D.ソレル『アッシジのフランチェスコと自然―自然環境に対する西洋キリスト教的態度の伝統と革新』、クレッカー&トゥヴォルシュカ『環境の倫理』、福永真弓『多声性の環境倫理―サケが生まれ帰る流域の正統性のゆくえ』(2019年度)、オット&ゴルケ『越境する環境倫理学―環境先進国ドイツの哲学的フロンティア』、フランク・ユケッター『ナチスと自然保護―景観美・アウトバーン・森林と狩猟』、尾崎和彦『ディープ・エコロジーの原郷―ノルウェーの環境思想』、石坂晋哉『現代インドの環境思想と環境運動―ガーンディー主義と〈つながりの政治〉』、真実一美『環境と開発―インド先住民族、もう一つの選択肢を求めて』(2020年度)、吉永明弘・寺本剛『環境倫理学』、徳永哲也『ベーシック生命・環境倫理学』『プラクティカル生命・環境倫理学』、加藤則芳『森の聖者―自然保護の父ジョン・ミューア』、ライト&カッツ『哲学は環境問題に使えるのか―環境プラグマティズムの挑戦』など、環境倫理に関する著名な著作を講読してきた。
本年度も継続して環境倫理の書を講読していく予定であるが、本年度のターゲットは人新世(anthropocene)、気候変動に定めたい。人新世という造語が作られたのは2000年であると言われる。既に人口に膾炙しているので、聞いたことがある人も多いと思うが、人間が地球の生態系を左右する決定的な要因になっていることを地質年代として表現した語彙である。しかし、人新世のメルクマールであるとされる気候変動、温室効果ガスの濃度上昇、海水面の上昇、生物種の絶滅などは2000年以前から言われていたことであるので、人新世という語ができたことで内容が変化したようには思われない。むしろ、その語は環境危機の切迫さ、地球規模であることのメタファーとして機能しているように思われる。
本演習においては、個々の環境思想家が人新世という語/イメージを通して具体的には何を主張しているのか、その主張の中でイメージはどのように機能しているかを明らかにしたいと考えている。
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