大学院
HOME 大学院 音声からアニメーションを再考する
過去(2022年度)の授業の情報です
学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2025年4月21日

授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。

音声からアニメーションを再考する

声は言葉の媒介であるために、人間精神の証とされてきました。 しかしそのいっぽうで、声は肉体が生み出す空気の振動でもあります。 精神と身体、形而上と形而下、普遍と特殊。二項対立を構成するこれらの概念は、声をめぐってはいっそう絡み合って、互いを補完しています。 現代日本には、声を成立させるこうした二項対立がもっとも生産的に機能する領域があります。 それこそが、運動の選択と制限によって成熟してきたアニメと、その境界で展開するキャラクター・ソング、ドラマCD、ゲームです。 視覚的にはキャラクターの黒子に徹する声優たちの人気が如実に示すとおり、 いったん声は、持ち主から切り離されてキャラクターのものになりながら、持ち主の署名入りの声としても流通し、「声のスターダム」とでも呼ぶべき独自のシステムを築き上げています。 そうした声はどのように構成されているのでしょうか。またその声を聴取する経験とはどのようなものなのでしょうか。 本講義では、アニメ、キャラクター・ソング、ドラマCD・ゲームにおいて「声のスターダム」を成立させる歴史的・社会的・技術的背景を理解し、私たちがその声とどのようにコミュニケーションを取っているのかを考察します。
本講義の到達目標は以下です。
・アニメとその周辺領域における声の意義と変遷を理解する。
・アニメとその周辺領域における声を構成する社会的・文化的・政治的・経済的・技術的要因を理解する。
・自身の視聴覚的経験を客観的に、また批評的に捉え、言語化する。
MIMA Search
時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
21220707
GHS-GC6G01L1
音声からアニメーションを再考する
石田 美紀
A2
集中
マイリストに追加
マイリストから削除
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
人文社会系研究科
授業計画
1声から考えるアニメ 2日本のラジオ放送と声優1:1925年から1945年8月 3日本のラジオ放送と声優2:第二次世界大戦後の連続ラジオドラマ 4テレビ放送と声優1:1950年代の人形劇 5テレビ放送と声優2:海外番組の吹き替え 61960年代のアニメ:連続テレビアニメ『鉄腕アトム』の功績 7アフレコと声優の演技 8声優への着目1: 第一次声優ブーム 9声優への着目2:1970 年代のアニメブームとアニメ雑誌 10声優とキャラクター1:1980年代のアイドルアニメ 11声優とキャラクター2:1990年代の「萌え」「視覚的データベース」と「声のデータベース」 12声優とファン:少年を演じる女性声優とファンの関係 13キャラクターとジェンダー1 14キャラクターとジェンダー2:1990年代から2000年代におけるアニメ批評 15まとめ:声とエロティシズム
授業の方法
講義 適宜、履修者同士の討議を含みます。
成績評価方法
講義への参加(50%)、レポート(50%)
教科書
石田美紀『アニメと声優のメディア史』青弓社、2020年
参考書
細馬宏通『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』新潮社、2013年 アン・カープ『「声」の秘密』草思社、2008年。 中川克志他『音響メディア史』ナカニシヤ出版、2015年。 ジョナサン・スターン『聞こえてくる過去』インスクリプト、2015年
履修上の注意
講義中に多数のアニメ・アニメーション作品を見ます。 履修者は、積極的に見、聞き、そして自身の視聴経験を言語化することに努めてください。