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最終更新日:2022年9月16日

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マイノリティーの環境史/倫理学

マイノリティーの環境史/倫理学
現在歴史学界においては、パブリック・ヒストリーという領域=運動が盛んになりつつある。これは、歴史実践を職業歴史家の独占から解放し、一般社会との交渉において、より公正かつ公共的な歴史のあり方を目指してゆく試みである。その範疇は、学校教育から博物館展示、歴史を題材としたアニメーションやゲームまで多岐にわたるが、現在支配的な位置を占める歴史言説に対し、異議申し立てを続けてゆくことにも大きな意味がある。それは、現行の歴史言説が、必ず何かを隠蔽、抑圧することによって、何かの忘却や不在によって、自己実現を図っているためである。
例えば、現在支配的なの歴史叙述のあり方は、男性選好の強い社会情況と相互構築の関係にあり、かかる現状に適応できない男性や女性、そして性的マイノリティーの人びとを強く抑圧している。家父長制やルッキズムと密接に結びついた〈男らしさ〉〈女らしさ〉は、前近代の歴史事象の恣意的な運用によって正当化されている。さらに、アンスロポセンの観点からすれば、ヒト至上主義の歴史叙述は、他の動植物、人間以外のアクターを抑圧することによって成立しているといえよう。中高までの教科書を典型とする一般的な歴史の語り方においては、動物や植物はヒトの文明の〈素材〉でしかなく、それぞれが歴史の主体として描かれることはない。多くの人びとは、そうした歪んだ歴史語りを〈事実〉として記憶させられ、現行社会の絶えざる再生産に参加させられているのである。
本講義は、これら歴史的に隠されているモノ・コトのうち、ジェンダー、および動物に光を当てる。そして、個々の事例の分析を通じ、歴史/環境/倫理にわたる問題系を明らかにすることで、パブリック・ヒストリーの実現に資することとしたい。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
21220076
GHS-XX6A01L1
マイノリティーの環境史/倫理学
北條 勝貴
S1 S2
月曜5限
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教室
法文1号館 212教室
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
人文社会系研究科
授業計画
初回はガイダンスとイントロダクション、2〜6回目は女性および性的マイノリティーの葛藤を前近代史から掘り起こす。具体的には、古代インドから現在の東アジア世界に至る伝播・拡大の過程で、常に女性救済/女性差別の問題系を内包してきた仏教に焦点を絞り、その性に対する考え方を追究、経論や僧尼たちの伝記、説話などから、多様な性自認を持つ人びとが活躍した可能性を探り、またその抑圧のプロセスについても明らかにしてゆく。そうして、現代の性的リテラシーをもって前近代の史料を読解する基盤を更新し、併せて、現代の性をめぐる諸問題に相対する知的土壌を準備してゆきたい。 7〜12回目は、前近代/近代における動物の身体使用の相違、ドメスティケーションの歴史的意義などを確認したのち、東アジアにおけるトラと人間との関係に焦点をあて、そのエスノグラフィーを通史的に描き出してゆく。東アジアにおいてはトラが、狩猟の最も困難な相手であり、また〈虎害〉〈虎患〉の言葉どおり人間集団を襲撃する畏怖の対象であり、それゆえに高い文化的価値を保ち続けてきたからである。かかる作業の過程を通じ、人間と他の生命との共生とは何か、自然と人間との関係はいかにあるべきかを考えてゆきたい。
授業の方法
対面式で行うが、配付資料のファイル(もしくはそれらがダウンロード可能なURL)は、毎回月曜の正午までに ITC-LMS にアップする。受講生はそれを端末にダウンロードするなり、プリントアウトするなりして手許に用意し、講義を受けたうえで課題に答え(毎回500字程度、リアクション)、やはり ITC-LMS を通じて提出する。フィードバックも ITC-LMS にて行うが、重要なものについては授業内で解説し、共有する。
成績評価方法
提出された課題(リアクション)の内容(40%)、学期末のレポート(60%)で評価する。テーマについては、授業内で説明する。評価の基準は以下のとおり。 a)問題意識の新鮮さ、オリジナリティ b)講義の理解度 c)考察の完成度(データの収集力・分析力、論理的思考能力、構想力など) d)プレゼンテーションの完成度(文章、構成、図表等の工夫など)
教科書
とくに定めない。必要な資料は毎回配付する。
参考書
・菅豊・北條勝貴編『パブリック・ヒストリー入門:開かれた歴史学への挑戦』勉誠出版、2019年 ・方法論懇話会編『療法としての歴史〈知〉:いまを診る』森話社、2020年 ・ハルオ・シラネ編『東アジアの自然観:東アジアの環境と風俗(東アジア文化講座4)』文学通信、2021年
履修上の注意
とくになし。