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最終更新日:2024年3月15日

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日本古典書誌学の研究

日本古典書誌学の研究
 日本の古典文学研究の現状に閉塞感があるとしたら、それはその研究方法に限界が訪れつつあるのであって、研究の可能性が失われたわけではないのである。研究の基礎となる書誌的情報をないがしろにした、翻刻や影印のみを利用して事足れりとする研究スタイルのままでは、早晩研究は行き詰まるものと思われる。それを打開するには、もう一度本質的な基礎研究から再スタートする必要があるのではないだろうか。それはより本質的で自由な研究を行うことをも可能にするはずである。その基礎研究の一つが書誌学的研究である。文学作品や歴史的な記録に限らず、前近代の文字・絵画情報の多くは書物に保存されて伝存してきている。書物に保存された情報は何らかの形でその書物の物理的な制約を受けて存在しているのである。それらの情報の器たる書物を学ぶことから、表層的な文字・絵画の読解では知ることができない、より多面的で深い様々な情報を得ることができるのである。その知見を利用して研究を行えば、従来の方法では到達することのできない領域に達することも可能となるはずである。本講義では、日本の古典籍を対象とする学問である日本古典書誌学の基礎的な知識とその応用方法を、原資料に触れながら具体的に説明した上で、勅撰和歌集・『源氏物語』・『平家物語』・『枕草子』・『栄花物語』などの作品を対象として、書誌学的研究の応用方法を検討してみたい。
 この授業の目標は、自分の研究対象に関連する古典籍を正しく取り扱い、適正な評価を下して研究に活用することができるようになるための、書誌学の基本的な知識と技能を身に付けることである。
 具体的には以下の3点である。
 1.装訂の種類とその特徴が説明できるようになる。
 2.装訂と保存される内容の相関関係が説明できるようになる。
 3.古典籍の書誌情報を正しく把握して、その成果を研究に活用できるようになる。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
21201112
GHS-JS6A01L1
日本古典書誌学の研究
佐々木 孝浩
S1 S2
火曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
人文社会系研究科
授業計画
1 日本古典書誌学とは   日本古典文学研究と書誌学の関係について 2 古典籍に用いられる和紙の種類1  紙の歴史と和紙の種類について 3 古典籍に用いられる和紙の種類2  紙の加工と装飾について 4 装訂の種類1  巻子装と折本・粘葉装について 5 装訂の種類2  綴葉装と袋綴、及びその他の装訂について 6 改装の問題   改装の在り方とその意味について 7 装訂と内容の関連性 ジャンルと装訂の相関関係について 8 写本と版本の関係性 同一作品の比較 9 作品の書誌学的検討1   勅撰和歌集について 10 作品の書誌学的検討2   『源氏物語』について 11 作品の書誌学的検討3   『平家物語』と『栄花物語』など 12 作品の書誌学的検討4   『枕草紙』その他 13 授業の総括   書誌学研究の可能性について
授業の方法
講義が中心となるが、ディスカッション的な形式を含む。
成績評価方法
最終的にレポートを課すが、単なる知識の暗記ではなく、その知識をどのように活用するかの応用力を問う問題となる。その他出席と授業への参加態度も加味して判定する。 レポート 60% 出席・授業態度 40%
教科書
テキストはプリントを配布する。
参考書
藤井隆『日本古典書誌学総説』和泉書院 1991 櫛笥節男『宮内庁書陵部 書庫渉獵―書写と装訂』おうふう 2006 堀川貴司『書誌学入門 古典籍を見る・知る・読む』勉誠出版 2010 大沼晴暉『図書大概』汲古書院 2011 佐々木孝浩『日本古典書誌学論』笠間書院 2016  この他講義中に適宜紹介する。
履修上の注意
 できるだけ原資料に触れる授業なので、授業前に必ず石鹸で手を洗うこと。原資料を汚さないように心懸け、飲み物などにも注意を払うこと。  書誌学の個々の知識は有機的な関連性を有しており、途中で聞き逃すと理解が難しくなるので、休まず出席すること。