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最終更新日:2024年4月22日

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共感とケアの哲学

共感とケアの哲学
 臨床(教育)の場において、共感やケアの重要性が盛んに指摘されている。にもかかわらず、その内実はそれほど分析的に吟味されていない。こういった現状を踏まえ、臨床をめぐる倫理における鍵概念である「共感」と「ケア」について、それが指示する事象の豊かさを尊重する仕方で、その意味内容を批判的に検討していきたい。
 より具体的には、英語圏で1980年代以降に登場してきたケアの倫理(Ethics of Care)において、共感やケア、またそれらの概念と不可分な、ニーズ・応答責任(responsibility)・脆弱性(vulnerability)・依存性(dependency)・受容性(receptivity)といった概念が、どのようなものとして捉えられてきたのかを検討する。とりわけ、ケアの倫理の代表的な論者であるキャロル・ギリガン、ネル・ノディングズ、エヴァ・キテイの議論を丁寧に見ていくことで、人間の傷つきやすさと依存性を根本に据えるケアの倫理が、主流の倫理学(もちろん一枚岩ではないが)に対して、どのような独自の貢献をしうるのかを批判的に考察する。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
21190058
GHS-XX6A01L1
共感とケアの哲学
早川 正祐
S1 S2
木曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
人文社会系研究科
授業計画
おおよそ以下のように進める予定である(進度等によって多少の変更はありうる) 1. ケア概念についての批判的考察(ケアにおける感情・知覚・行為) 2. ギリガンのケアの倫理(ケアと正義・文脈主義・応答責任) 3. ノディングズのケアの倫理(受容性・ニーズ・ケアの場所論) 4. キテイのケアの倫理(ケアからの正義論・責任の脆弱性モデル) 5. 臨床における共感とケア
授業の方法
基本的には講義形式で行うが、必要に応じてディスカッションを行う。
成績評価方法
授業への参加度(簡単なリアクションペーパー等を含む)と期末レポート
教科書
特になし
参考書
・Harry Frankfurt, The Importance of What We Care About (1988), The Reason of Love (2004) ・Carol Gilligan, In a Different Voice (1982)=『もうひとつの声―男女の道徳観のちがいと女性のアイデンティティ』(川島書店) ・Nel Noddings, Caring: A Feminine [Relational] Approach to Ethics & Moral Education (1984)= 『ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から』 ・Nel Nodding, Starting at Home: Caring and Social Policies (2002) ・Eva Feder Kittay, Love’s Labor: Essays on Women, Equality, and Dependency (1999)=『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』(白澤社) ・Martin L. Hoffman, Empathy and Moral Development: Implications for Caring (2001)=『共感と道徳性の発達心理学―思いやりと正義とのかかわりで』(川島書店) ・Arthur W. Frank, The Wounded Storyteller: Body, Illness & Ethics (1992)=『傷ついた物語の語り手―身体・病い・倫理』 ・Jodi Halpern, From Detached Concern to Empathy: Humanizing Medical Practice (2001)
履修上の注意
特になし