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最終更新日:2026年10月16日
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戦後教育史演習
1960~70年代の民間教育運動における特殊教育実践史:発達保障論の中心と周縁
この授業では、日本教育史研究に必要な研究能力、ならびに基礎的な教養を獲得することを目指している。
報告やそのための準備・ディスカッションを通じて、先行研究のレビュー、史資料の蒐集および史料批判、史料に基づいた歴史叙述といった教育史研究に求められる諸能力を身につけつつ、日本教育史に関する基礎的な知識・理解を獲得することが、ここでの目標である。また、それらの歴史的な思索を手がかりとして、改めて現代の教育において求められていることが何なのかについても、考えを深める機会にしたい。
そのためのトピックとして、今年度は1960年代から1970年代にかけての民間教育運動のなかで特殊教育に取り組んだ教師たちとその実践に焦点を合わせたい。従来の特殊教育/障害児教育史において、1960~70年代は、特殊学級・養護学校等の整備が進み、「権利としての障害児教育」の保障が進展した時代として描かれてきた。障害のある子どもの「発達」のために科学的な障害児教育を充実すべきだとする「発達保障論」は、いわばその中心に位置し、1979年の養護学校義務化を到達点として、障害の重い子どもも含めた教育権保障の実現に寄与したことが知られる。
他方、近年の研究は養護学校義務化反対運動などに着目することで、同じ1960年代から70年代という時期を、障害のある子どもを通常の学校・学級、あるいは社会から排除・周縁化する機構が構築される過程として捉え返してきた。これらの研究は、近代学校教育制度の充実・発展として語られてきた既存の教育史像を批判し、近年のインクルーシブ教育をめぐる研究・運動に対しても、非常に有力な示唆を与えている。
しかしながら、いずれの研究も障害のある子どもの教育をめぐる運動的な対立を背景に進められる傾向が強く、1960年代から70年代は両運動の対立を強調する歴史像が(双方の立場から)描かれてきた。両者の対立が現代のインクルーシブ教育をめぐる対立にも通底しているとき、その対立のみを描いてきた教育史像は、十分に応答できていない。
以上の研究上の背景を踏まえつつ、この授業では、1960年代から70年代にかえての民間教育運動のなかで特殊教育に取り組んだ教師とその実践に着目する。彼らは民間教育運動のネットワークや日教組を中心とする運動を通じて、発達保障論に非常に近い位置、もしくは発達保障論の一翼にあった。しかしながら、従来の歴史研究ではほとんど描かれてこなかった存在でもある。彼らの実践を通して発達保障論をその「周縁」から描き直すことによって、二項対立的な歴史像の再検討を試みる。
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