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最終更新日:2025年4月21日

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比較教育学概論

本講義の目的は、比較教育学の目的、発展経緯、理論、方法、テーマについて理解し、比較教育学のテーマに関わる学校のフィールドワークや国際データの検討、ゲストスピーカーの講義と授業内討論を通じて学生が比較教育学の知識と方法論を習得することである。
 講義は教育社会学を専攻する三名の教員が担当し、それぞれが専門とする研究領域(異文化間教育/教育開発)、地域(アメリカ/アジア諸国)、教育段階(幼児・初等教育/高等教育)、焦点(政策/実践)を紹介する。グローバリゼーションの進展の中で、比較教育学における研究テーマや分析視角の多様化が進んでいることについて理解を深めてもらいたい。
 具体的には、比較教育学に含まれる以下の研究領域を取り上げる。①教育制度、学校文化、子育てといった具体的テーマに関する国際比較、②主に途上国における教育発展を扱う国際教育開発の理論と実践、③21世紀に向けた教育の新たなアプローチ、グローバル化と教育の関係、④人の国際移動に伴う教育の多文化化と移民生徒の学力保障、である。
 なお、この授業科目は、教職課程の「教科に関する科目((社)地理学、(公)社会学)」に該当する。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
09253103
FED-SO3201L1
比較教育学概論
額賀 美紗子
S1
木曜3限、木曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教育学部
授業計画
第1週 (4/10 1コマのみ) 担当:額賀 比較教育学とは何か  比較教育学の目的、発展経緯、理論、方法について概観する。学力、学校文化、子育てなど具体的なテーマに関するデータを検討しながら、日本の教育を相対化して考える視点について学び、グローバル化時代における国際比較研究の意義を考える。 第2週 (4/17) 担当:額賀  国際移動と教育 日本社会の多民族化・多文化化の状況について学び、異文化間教育学・比較教育学の視点から移民背景をもつ子どもたちの教育機会について考える。特にこうした子どもたちの「差異」が日本の教育現場においてどのようにまなざされ、政策的・実践的に対応されているかについて、国際比較の視点を交えながら批判的に考察する。授業の後半は、ストックホルム大学の教員とオンラインで繋ぎ、スウェーデンの生涯学習や多文化政策についてレクチャーを受ける。 第3週 (4/24) 担当:荻巣  比較教育学の中の国際教育開発 ①理論編 国際教育開発論について、比較教育学における意義と位置付け、課題と展望について概観する。特にカンボジアを事例として、国際教育開発が扱う研究課題や方法について理解を深めるとともに、価値観の押し付け論などの倫理的な問題についても考える。 第4週 (5/1)   担当:荻巣  比較教育学の中の国際教育開発 ②実践編 カンボジアで活動する日本のNGO「SALASUSU」より、代表の青木氏ほか2名をゲストスピーカーとし、国際教育開発の実践に携わることへの思いや葛藤、今後の展望などについてお話しを伺う。SALASUSUは「かものはしプロジェクト」から派生した団体で、カンボジアにおいて人身売買の危険に晒されている女性や子どもに対して独自のライフスキル教育プログラムを提供している。こうした具体的な活動について知り、実践者と対話することで、翻って比較教育学や国際教育開発論を学ぶことの意味を考える機会としたい。 第5週 (5/15) 担当:額賀  外国籍の子どもの教育を受ける権利 (横浜中華学校訪問) 日本には多くの外国人学校が存在し、外国籍だけではなく日本国籍の子どもがさまざまな理由から外国人学校を選択し、在籍している。しかし、その多くは学校教育法で定められた一条校ではないため持続的な運営に困難が生じやすく、地域社会や日本の一条校との間の関係構築が難しい場合がみられる。また、日本では外国籍の子どもに就学義務がないため、外国人学校に通う子どもの学ぶ権利は看過されがちである。この授業では横浜にある中華学校を訪問し、授業見学や生徒との交流を通じて外国人学校の存在意義や直面する困難について理解を深める。 第6週 (5/22) 担当:北村 比較教育学の国際的な視点からの捉え直し 「比較教育学を国際的な視点から考える」というテーマのもと、比較教育学の可能性と課題について、グローバル化の影響を踏まえながら検討を加える。持続可能な社会の実現へ向けて、教育が果たすべき役割はどのようなものであるか、変容する「学び」のあり方という観点から検討を加える。「持続可能な開発目標(SDGs)」との関連を中心に据えながら、多様な教育のあり方について論じる。 第7週 (5/29) 担当:北村  比較教育学の課題と展望 今学期のまとめとして、現在の比較教育学が直面している課題を整理し、今後の比較教育学のあり方を展望する。
授業の方法
講義とディスカッションを組み合わせる
成績評価方法
出席10%、毎回の授業におけるミニレポート課題 (北村30%、額賀30%、荻巣30%)  
教科書
ジョエル・スプリング著、北村友人監訳 2023 『教育グローバル化のダイナミズムーなぜ教育は国境を越えるのか』東信堂. ※北村の担当回で使用
参考書
恒吉僚子・額賀美紗子 2022 『新グローバル時代に挑む日本の教育-多文化社会を考える比較教育学の視座』東京大学出版会. 額賀美紗子・芝野淳一・三浦綾希子 2019 『移民から教育を考える-子どもたちをとりまくグローバル時代の課題』ナカニシヤ出版. 荻巣崇世・橋本憲之・川口純編 2021 『国際教育開発の挑戦-これからの教育・社会・理論』東信堂.
履修上の注意
・二コマ続きの講義であるため、両方とも受講できることが履修条件となります。グループ・ディスカッションに積極的に参加することを求めます。 ・授業の資料はLMSにアップロードするので、各自授業に持ち込むこと。紙媒体で配布はしません。 ・zoomやjamboardにアクセスしてもらう回がありますので、ネットにつながるPCを用意して授業に参加してください。
その他
連絡先 北村友人:***** 額賀美紗子:***** 荻巣崇世:*****