学部後期課程
HOME 学部後期課程 フェミニズム理論
過去(2024年度)の授業の情報です
学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2025年4月21日

授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。

フェミニズム理論

フェミニズム理論
 フェミニズム理論は、1960年代後半に登場した第二波フェミニズム(女性解放運動)の運動と思想を受け、発展してきた知の枠組です。当初は、女性学(Women’s Studies)と呼ばれる学問領域の中で、主に男女間の不平等や格差の検証に焦点をあて、伝統的な学問分野の男性中心性が明らかするための道具立てとして用いられてきました。その後1980年代になると、男性や男性性の経験に焦点をあてた研究も行われるようになり、男性学(Men’s Studies)という専門領域の登場にも寄与します。
 ところが、女性学とそれに続く男性学がアカデミックな探求の専門領域として確立された1980年代後半、ポストモダニズムやポスト構造主義などの理論が進行した結果、「女性」や「男性」をそれぞれ別々の一元的なカテゴリーとして捉える考え方に疑問が突きつけられることになります。これにより、「女性学」や「男性学」という用語は論争の的となり、それらの存在理由が大きく揺さぶられることになりました。「女性学」や「男性学」に代わるものとして、「ジェンダー論」という名称が好まれるようになった理由の一端はここにあります。
 こうした経緯を経て、現在フェミニズム理論は、男女間だけではなく多様な女性・男性の間に存在するさまざまな差別や不平等、格差(Ex. 就業機会の不平等や健康医療アクセスの格差など)を捉える知の枠組みとして展開されています。この授業は、フェミニズム理論が登場・発展した歴史的背景に加え、フェミニズム理論の基礎的な概念や考え方を紹介することを目的としています。
 2024年度は、とりわけ「インターセクショナリティ」と呼ばれる「見方」(perspective)に焦点を当てます。インターセクショナリティは、人種や階級、性的指向や性自認、障害などの複数の差別がどのように交差し、一人の人間の経験に影響を与えているかを捉えるための見方のことを指します。こうした見方が登場・発展してきた歴史的経緯を押さえることで、複雑な抑圧構造を理解する上で、マイノリティ女性の経験と知識を反映したフェミニズム実践が不可欠であることを学びます。この授業を通じ、多様な視点からフェミニズムを捉える洞察力を身に付け、社会の複雑な問題に対する批判的思考を深めることを期待します。
MIMA Search
時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
09249906
FED-IE3602L1
フェミニズム理論
星加 良司
A1 A2
木曜3限
マイリストに追加
マイリストから削除
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教育学部
授業計画
第1回ガイダンス&イントロダクション 第2回フェミニズムの「波」: 女性参政権運動から女性解放運動へ 第3回フェミニズムと人種差別 第4回ジェンダー「平等」:三つの視点 第5回ジェンダー「平等」とポジティブ・アクション 第6回公私二元論とジェンダー分離 第7回アンペイド・ワーク 第8回中間まとめ 第9回リプロダクティブ・ヘルス/ライツ 第10回セクシュアリティとポルノ論争 第11回フェミニズムとトランス差別 第12回ポストフェミニズム批判(1) 第13回ポストフェミニズム批判(2)
授業の方法
対面で実施します。 90分程度の講義の後、LMSに講義の要旨(ポイント)やコメントを書き込む時間をとります。 状況に応じて、グループ・ディスカッションをすることがあるかもしれません。
成績評価方法
1)平常点 40点 2)読書レポート 20点 3)期末レポート 40点
教科書
指定文献および追加の教材はITC-LMSで共有します。
参考書
ショーン・フェイ(高井ゆと里訳)『トランスジェンダー問題――議論は正義のために』明石書店、2022年 カイラ・シュラー(川副智子訳・飯野由里子監訳)『ホワイト・フェミニズムを解体する――インターセクショナル・フェミニズムによる対抗史』明石書店、2023年 池田喬・堀田義太郎『差別の哲学入門』アルパカ合同会社、2021年 菊地夏野『日本のポストフェミニズム――「女子力」とネオリベラリズム』大月出版、2019年
履修上の注意
受講生には指定文献を事前に読み、内容を理解した上で授業に参加することが期待されます。