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最終更新日:2025年4月1日
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世界哲学と東アジアIII(15)
九鬼周造『時間論』を読む
この授業では、九鬼周造(1888-1941)がフランス語で発表した『時間論』(1928)を精読する。同書は、1928年8月に九鬼がパリ近郊のポンティニーで行なった二つの講演を、Propos sur le tempsというタイトルでフィリップ・ルヌアール社から刊行したものである。
同書は、「時間の観念と東洋における時間の反復」および「日本芸術における「無限」の表現」という二篇の論文からなる。フランス語原文は『九鬼周造全集』第1巻に収録されているが、合わせても30頁ほどのごく短いものである。本授業では、必要に応じて日本語訳も参照しつつ、この『時間論』全体を通読する。
今から約一世紀前に日本の哲学者が発表したこれらの論文は、「ポンティニーの旬日会」という伝統ある場で公にされた。その内容もさることながら、九鬼周造の『時間論』は、ひとりのアジア人哲学者が、フランスの錚々たる知識人たちの前で、東洋および日本の根本思想を開陳したという意味で記念碑的なものである。
本授業では、同テクストをコンスタティヴに精読するのはもちろんのこと、その戦略を含めたパフォーマティヴな側面も含めて検討したい。
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