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最終更新日:2025年4月21日

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科学技術リテラシー論II

日本における優生学の歴史と現在——ポピュラーサイエンスと科学ジャーナリズムの視点から
 新型出生前診断の普及、LGBTの人々を「生産性がない」とした政治家の発言、そして43名もの知的障害者が殺傷された相模原事件など、近年の日本では「優生学」(優生思想)の顕現とされがちな事態が数多く生じている。だが、そもそも優生学とは何か。そして、それはいかに歴史的に展開して今日に至っているのか。本講ではこうした問題意識のもとに、日本の明治期から現代までの優生学の歴史を考察する。
 その際、日本の優生学史研究に新風を吹かせたテキスト(下記)を用いる。従来、優生学は科学か非科学かが問われてきたが、本書はその二元論を排して優生学を「ポピュラ−サイエンス」(新聞・テレビ・雑誌などによって一般向けに発信された科学)と規定する。それゆえまた、優生学の流布と浸透において「科学ジャーナリズム」の果たした役割に着目する。かくて本講では、こうした観点から優生学の歴史を捉えなおすことになる。
 視点を転ずると、以上は、“科学”の“啓蒙”と科学ジャーナリズム(メディア)との関係という、科学コミュニケーション論の主題のひとつにほかならない。この主題を歴史的に検討することもまた、本講の目的となる。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08F1304
FAS-FA4D04L1
科学技術リテラシー論II
小松 美彦
S1 S2
金曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
明治期(人種改造論)から現代(新型出生前診断)までの日本の優生学の歴史を論じたテキストを輪読し、討議する。具体的には以下。 1)まず、開講時にガイダンスを行い、本授業の目標や基本精神などを確認する。 2)そのうえで、下記テキストを授業1回につき1章ずつのペースで通読する。 3)最後に、このテキスト自体を批判的に検討する。    
授業の方法
すべてオンラインのみで実施する。 ・「演習形式」を採り、テキストを輪読し、議論する。 ・履修者は、基本的に少なくとも一度は担当部分をレジュメ発表する(発表しなかった者には、期末レポートを課す)。 ・発表担当は開講時に決める。
成績評価方法
レジュメ発表と平常点。発表しなかった者には期末レポートを課す。
教科書
横山尊『日本が優生社会になるまで——科学啓蒙、メディア、生殖の政治』(勁草書房、2015年)。 開講時までに用意する必要はない。
参考書
・藤野豊『日本ファシズムと優生思想』(かもがわ出版、1998年) ・米本昌平・松原洋子・橳島次郎・市野川容孝『優生学と人間社会——生命科学の世紀はどこへ向かうのか』(講談社現代新書、2000年) ・M.フーコー『社会は防衛しなければならない』石田英敬・小野正嗣訳(筑摩書房、2007年) ・小松美彦『増補決定版 「自己決定権」という罠——ナチスから新型コロナ感染症まで』(現代書館、2020年) ・本多創史『近代日本の優生学——〈他者〉像の成立をめぐって』(明石書店、2021年) ・廣野喜幸・藤垣裕子・定松淳・内田麻理香編『科学コミュニケーション論の展開』(東京大学出版会、2023年) 他は授業時に紹介する。
履修上の注意
・本授業は、総合文化研究科の授業時間に基づいて行われる。具体的には、15:10〜16:40、の時間帯で行う(予定)。 ・発表担当を開講授業で決める。そのため、履修希望者は開講授業にかならず出席すること。履修を希望するが特別な事情で開講授業に出席できない者は、かならず「事前に」メール連絡すること。 ・履修を決めた者(履修が決まった者)は、原則として欠席してはならない。ゼミは学生・院生と教員が形成する時空間だからである。 ・大学院博士課程の学生で履修を希望する者は、他学部聴講生の手続きをとること。
その他
・履修希望者は、上記「履修上の注意」の欄をよく読み、開講時にかならず出席すること。 ・また、繰り返すが、すべてオンラインのみで実施する。 ・大学院博士課程の学生で履修を希望する者は、他学部聴講生の手続きをとること。