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最終更新日:2024年4月22日

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環境社会科学[グローバル・エシックス]

広義の経済学の方法 Methodology of the Political Economy in the Broader Sense
1960年代から70年代にかけて、日本では工業生産の負の側面である公害問題が深刻化し、また世界では冷戦構造のもとで核戦争の脅威が高まっていました。このような状況の中で、人間の生命とそれを支える環境を守り育てようとするエコロジー思想が注目を集めることになります。経済学の分野でも、市場と工業の論理で成り立つ「狭義の経済学」から、非市場と生命系に基礎を置いた「広義の経済学」へのパラダイム転換が提唱されるようになりました。しかし、1980年代から2010年代にかけて世界経済は、このようなパラダイム転換の呼びかけを無視し、市場原理主義の暴走を許すことになりました。この間、地球環境問題は悪化の一途をたどり、2020年代に入ると、新型コロナの世界的蔓延およびロシアによるウクライナ侵攻が生じました。今日、このような人間の生命や生活および尊厳(=人間の安全保障)への破壊的影響をどう取り除くことができるかが喫緊の課題となっているといえます。経済学でも、旧式のパラダイムに固執する「狭義の経済学」が急速に衰退する様相を見せ始めているのに対し、「広義の経済学」への期待と関心とが高まってきています。この授業は、以上のような問題意識を念頭に置き、「広義の経済学」の基本的考え方を理解しその今日的意義を明らかにすることを目標とします。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08F1012
FAS-FA4A12L1
環境社会科学[グローバル・エシックス]
丸山 真人
A1 A2
水曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
1.「経済的economic」の二つの意味 2.アリストテレスの経済学 3.二つの政治経済学:ジェームズ・スチュアートとアダム・スミス 4.富の源泉としての土地と労働 5.商品交換と貨幣 6.資本家的生産様式 7.信用と景気循環 8.擬制資本 9.社会的共通資本 10.エコロジー経済学 11.生命系とエントロピー 12.地域主義と共同体
授業の方法
Zoomを使用してオンラインで行います。10月4日はガイダンスを行います。10月11日以降は、毎回レポーターを決め、レポーターは担当部分についてレジュメを用意し発表を行います。具体的には、下記の教科書を輪読し、授業参加者全員で意見交換を行います。また、毎回の授業について、コメント・感想・質問をリアクションペーパーに記入してもらい、教員のコメントを含めて、授業参加者で共有します。
成績評価方法
出席、発表、発言、期末レポート。
教科書
丸山真人著『人間の経済と資本の論理』東京大学出版会
参考書
・「広義の経済学」提唱者の玉野井芳郎の基本文献: 『エコノミーとエコロジー』みすず書房、1978. 『地域主義の思想』農文協、1979. 『市場志向からの脱出―広義の経済学を求めて』ミネルヴァ書房、1979. 『生命系のエコノミー』新評論、1982. 『科学文明の負荷―等身大の生活世界の発見』論創社、1985. ・その他の関連文献はITC-LMSで適宜紹介します。
履修上の注意
教書書の予習が重要です。授業での積極的発言を求めます。